(写真:PIXTA) 画像を見る

「電気、ガスについては、LNGや石炭の輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下してきた状況等を踏まえ、措置を5月末までとする」

 

3月29日、こう発言したのは齋藤健経済産業相。「電気・ガス価格激変緩和対策事業」として、’23年1月使用分から続いてきた補助金を、5月使用分から半分に縮小、6月使用分からはなくす見通しであることを示した。

 

生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが解説する。

 

「具体的には、家庭向け電気代は、1kW/時あたり3.5円、都市ガスは1立方メートルあたり15円の補助を受けています。補助がなくなれば2人以上の標準家庭で、電気料金は月約1千500円、都市ガスは月約500円増えることになります。補助金がなくなった6月使用分の電気・ガス料金の請求は、7月からです。以降、長期的に家計にダメージを与え続けます」

 

さらに再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)も5月分から引き上げられる。

 

「再エネ促進のために、太陽光発電などを国が買い取るための原資です」(柏木さん)

 

年度はじめに更新されるのだが、今年度からは標準家庭で月836円ほど増額されるのだ。

 

これだけでも負担が大きいが、さらに追い打ちをかけるのが食費だ。3月29日に発表された帝国データバンクの定期調査「『食品主要195社』価格改定動向調査―2024年4月」によると、4月の食品値上げは2千806品目にのぼると報告されている。情報統括部の飯島大介さんが語る。

 

「昨年10月に5千品目近くが値上げされて以降、月別の値上げ品目数は少なくなっていたので、半年ぶりに値上げラッシュが起きた印象です。4月に値上げとなった2千806品目の月平均値上げ率は23%。今年1月から7月まで、6千433品目が値上がりする見込みです」

 

値上げが顕著なのがハムやソーセージ、冷凍食品などの加工品で、2千77品目にのぼる。また調味料は369品目で、だし製品、トマトケチャップなどが目立つという。

 

「飼料代が高騰しており、牛肉に関しては、アメリカでは生産コストが高くなりすぎて、生産数を抑えています。そのため豚肉の需要が高まり価格が上昇したことで、ソーセージなど肉の加工品に影響が出たとみられます。調味料の値上げは、本体の製造コストばかりでなく、ペットボトルなどの容器をつくる資材高騰も一因です」(飯島さん)

 

たとえば日本ハムは家庭用のハム・ソーセージ55品目、加工食品38品目を1.1~27.6%値上げすると発表。不二家は、菓子15品目を5~12%値上げすると発表した。

 

「『カントリーマアム』は、内容量を19枚から18枚に減らすなどして対応しています」(柏木さん)

 

5月も大きな負担増が予測される。たとえばJ-オイルミルズでは、家庭用オリーブオイルが32~66%増と大幅値上げを発表している。

 

「5月以降には、オイル類の値上げが見込まれます。この1年で複数回値上げを重ねているケースも。短期的に下がることは考えにくく、今夏、もう一段階、価格上昇する可能性もあります」(飯島さん)

 

次ページ >さまざまな背景を抱える値上げは7月からどうなる

【関連画像】

関連カテゴリー: