「106万円の壁」で気になる“大幅手取り減”…どう働くのが「得」なのか?FPが解説
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■82歳で回収できる年金上乗せのありがたみ

 

ここで改めて、老後の年金を比べてみよう。Aさんが時給やそのほかの条件を変えずに65歳まで15年間働くとして試算した。

 

「社会保険に加入すると、基礎年金に加え厚生年金の上乗せがあります。年収128万円だと、厚生年金の上乗せは月約8千800円です」

 

厚生年金保険料を15年も払ったのに、わずかこれだけ?

 

「少ないと感じるかもしれませんが、公的年金は死ぬまで続くのが大きなメリット。長生きするほどお得が広がります」

 

年収128万円で、65歳までの15年間に納める厚生年金保険料は年11万4千192円×15年=約171万円。老後にもらえる厚生年金は年10万5千168円だから、約16.3年、つまり82歳までで払った保険料はすべて回収できる。82歳以降はもらい得が続くのだ。

 

介護などで働けない人もいるでしょう。ですが、時間と体力が許す限り、年収の壁など気にせず、もっと働くといいと思います」

 

長尾さんは、来年以降も物価上昇が続き、パートの時給引き上げも加速すると予想する。

 

「今は非正規労働者の給料が安すぎるので、今後は10%台の賃上げがあってもおかしくないと思います。年収の壁の手前で働くとすると、年々働く時間を削っていくしかない。反対に年収の壁を越えた人は、時給が上がってもっと短時間で今と同様の給料を稼ぐことも、今と同じくらい働けばもっと多くの収入を得ることも可能です」

 

これからの働き方が、老後の豊かさを決めると言っても過言ではない。長い目で働き方を考えよう。

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