■人口密度の低い地域では値上げもやむをえない
水道料金の格差は、市区町村だけではない。都道府県ごとの家庭向けの平均水道料金を調べてみた。
もっとも安いのは神奈川県で月2千223円。全国平均(月3千343円)よりも1千円以上安い。
「県内の水源は相模川と酒匂川で、そこに横浜市、川崎市、横須賀市を含め12市6町を給水区域とする県営水道などが共同でダムを開発。水源の確保とともに人口密度が高い自治体が多く、維持管理費が抑えられていることも影響しているようです」(神奈川県健康医療局水道グループ)
もっとも水道代が高いのが青森県。月あたり4千519円。神奈川県の2倍で、月2千296円も高くなっている。
「県内の多くの市町村では、集落が広範囲に点在し、浄水場など水道施設の集約が困難。そのぶん維持管理費用がかかります。北国なので冬季の凍結をふせぐため水道管もより深く掘らないといけないこともあり、工賃が高くなるという意見も。少子化や過疎化による人口減を食い止めるのは難しく抜本的な対策は見つからないのが現状です」(青森県県土整備部都市計画課)
最後に浦上教授が語る。
「蛇口から出る水をそのまま飲める国は世界でも日本を含めて9カ国しかありません。
将来にわたって安全で安い水を飲むためには、複数の自治体による『広域化』もひとつの選択肢です。また全員で“水道を支えていく”という意識を持つことも重要です」