20年後の物価は3割高騰で…年金だけで足りないお金「4340万円」に爆増する!
画像を見る 買い物にいくたびに値上げが…(写真:TWO/PIXTA)

 

■20年後の60代夫婦は毎月12万円不足する

 

20年後には年金生活に入っている人も多いだろう。頼みの綱は年金だが、その見通しは暗い。

 

「年金はもともと物価の上昇とともに、受給額も上昇していく仕組みでした。しかし、“マクロ経済スライド”が導入され、受給額の上昇は抑制され、物価が上がっても年金額は上がりづらくなりました。そうなると、老後の不足額は2000万円では、すまなくなる可能性が高いのです」(加谷さん)

 

2019年、金融庁の発表によって、“老後2000万円不足問題”が話題になったことを記憶している人も多いだろう。

 

このまま物価上昇が続けば、20年後に年金だけだといくらお金が足りなくなるか、試算してみた。

 

物価の上昇によって消費支出が3割上昇し、年金額と非消費支出(社会保険料や税)が1割上昇したと仮定した場合、夫婦2人の世帯だと月12万654円も不足することになる。

 

“老後2000万円不足問題”のときと同様に、30年の累計で計算すると、なんと4343万円もの赤字に。

 

“おひとりさま”の場合は、月に7万2473円、30年で2609万円の赤字という試算が出た。

 

■50代から生活の抜本的な見直しが必要

 

いま50歳前後の人が、今後20年で、不足分の4000万円を補う方法はあるのだろうか。 前述のように賃上げの恩恵を受けられない人も多いなか、退職金を考慮しても、数千万円単位の資産形成は容易なことではない。

 

ファイナンシャルプランナーで節約術に詳しい丸山晴美さんは、「子育てが一段落した50代は、人生最後の“貯めどき”」として、7つの見直しを勧める。

 

「扶養内で働いている方は、年収200万円以上を目指して、より稼げる仕事に就くことをおすすめします。どこも人手不足なので、50代でも正社員で雇用してくれるところはあるはず。社会保険に加入すれば、年金受給額も増やせます」

 

住まいの見直しも必須だ。

 

「子供の独立は、住み替えのチャンス。とくに都心は地価が高騰していますから、住宅をお持ちの方は購入時より数千万円高く売れる場合も。住居をコンパクトにすると、光熱費も安く抑えられます」

 

細かい支出もチェックしよう。

 

「まずは、固定費の見直し。格安のモバイルプランなどに変更すれば、月1000円程度で利用できます」

 

食料品を節約するためには、加工食品を極力避けること。

 

「冷凍や加工食品の値上げが続いていますから、できるだけ生鮮食品のまとめ買いと、冷凍保存をして自炊することで節約できます」

 

また、クーポンや、シニア割などを活用することで、年間数万円の節約になるという。さらに大切なのが、「お金にも働いてもらうこと」だと丸山さん。

 

「無理のない範囲で、税優遇を受けられるNISAなどに投資してみましょう」

 

高齢になるほど、抜本的な生活の改変は難しくなる。体力のある50代のうちに始めるべきだと丸山さんはアドバイスする。危機的な物価高騰時代。政府の施策に期待できない以上、自分たちで乗り切っていくしかない。

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