■家、50万円で売ります!富豪がクレカで即買い
同じくジモティーを使って、『実家、50万円で売ります』と発信したら、3~4日で200件以上の反応がきたのだ!
最終的には、クルーザーを所有し、海に近いセカンドハウスを探していた会社経営者のもとへ渡ることになった。買い手はボート趣味のためにこのエリアの物件を探しており、場所がドンピシャだったそう。なんと、内見なしで、クレジットカードで即決だった。
「お会いしたとき、祖母が大事にしていた木曽の太い柱や梁の立派さに気づいてくれて。この人のもとに渡るなら、亡くなった祖母への供養になったと感じられました」
こうして高殿さんの実家じまいは、ドタバタ劇の末、トントン拍子で結末を迎えたのだった。実家じまいを終えて、高殿さんはこう言う。
「この時代、昭和とは違い、いろいろな目的や価値観があります。研究とスタートアップのために使いたいという大学生、ECサイトの倉庫として使いたい人……。様々な問い合わせがありました。家は、多くの人のニーズにマッチする必要はありません。たった1人にさえ、魅力的に映ればOK。大事なのはマーケットに出して人の目につくようにすることです」
今回、「実家じまいがうまくいく5カ条」を高殿さんに教えてもらった。誰かが亡くなる前、家の方針を決める前でも、できるものから取り組んでほしい。
「実家じまいは、嫌なカードを互いに押し付け合うババ抜きのよう。その“ババを引くメリット”ですが、それは、親戚一同に“どや顔”し続けられることです(笑)。
あきれる話ですが、50万円で売れた家のもうけを巡って、あの後父と長兄がけんかを始めたのです。それを見た私は、『祖父のお墓に報告が先でしょ』と一喝しました。自分がやることをやったからこそ、目上の親族にも堂々と怒ることができたのだと思います」
また高殿さんは、親や祖父母の生死にかかわる問題に比べたら、ものをいわないボロ実家の処分のほうが間違いなく楽だ、と言う。
早いうちに面倒事を引き受けておけば、これからの親戚付き合い、介護などの問題を「私はパス」と、回避するカードになりうる。
「人は、欲をかかなければ得をします。実家じまい、本当にやってよかったです!!」
空き家同然の実家を見て見ぬふりという人も、ぜひ、家の価値を信じてほしい。
高殿さんのように、前向きな実家じまいをしよう!
【PROFILE】
たかどの・まどか
1976年、兵庫県生まれ。不動産と温泉が大好き。同人誌『98万円で温泉の出る地区75年の家を買った』も話題。