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「酒に酔った俳優の吉沢亮(30)が、無断で自宅マンション隣室のトイレを使用するなどし、住居侵入の疑いで警視庁から任意で事情を聞かれていたことが判明。示談が成立し、不起訴となる見込みのようですが、ビール会社のCMが打ち切られました」(芸能記者)

 

主演映画も公開延期になるなど、大きな代償を払うこととなった住居侵入について、弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士が解説する。

 

「住居とは、屋内のほか、庭、バルコニー、共同住宅の共用部分を含みます。侵入とは、住居権者等の意思に反して立ち入ることをいい、承諾がない立ち入りのほか、錯誤や脅迫による承諾があった場合の立ち入りを含みます」

 

近所付き合いが希薄になった現在、昔の感覚で安易に他人の住居に足を踏み入れると、住居侵入罪に問われる可能性があるのだ。

 

東京スタートアップ法律事務所の神尾尊礼弁護士もこう補足する。

 

「実際に罰金を科されるまでに至るケースはまれですが、住居侵入罪だと最高で10万円です」では、日常、どのようなところに気をつければいいのか。ケースごとに解説してもらうと……。

 

まず、今回の吉沢のように勝手に隣家のトイレに侵入すれば、完全にアウト。

 

「たとえ酒に酔っていても言い訳はできません」(神尾さん)

 

洗濯物が隣家の敷地に落ちてしまったり、ペットの犬が他人の家の植え込みや駐車場に入って粗相をしてしまったりすることも、日常に起こりうること。物を拾ったり、掃除をしたいところだが、

 

「勝手に敷地に入れば住居侵入罪が成立する可能性が。面倒でも一言、隣人に断ってから取るようにしましょう」(正木さん)

 

「よほど隣家との関係ができていて、承諾が得られる見込み、つまり推定的な承諾があれば、管理権者の意思に反しないので犯罪不成立となりえます」(神尾さん)

 

身内同士の場合はどうか。独立した子から渡された合鍵を使って、予告なしで留守の子供夫婦の家に入る人もいるだろう。

 

「管理権者全員の承諾が必要か、どこまで承諾しているのかを検討する必要があります。通常は子の配偶者にも鍵を渡していることを伝えているはずだから、全員の承諾があったと考えてよいと思われるので、住居侵入罪が成立するケースは少ないでしょう」(神尾さん)

 

借りたものを留守の友人宅の玄関前に置くため、配達員が出てきてオートロックが開いた際にマンション内に入る場合はどうか。

 

「オートロックは住民が個別に許可した人だけが敷地に入れる仕組みなので、住居侵入罪に該当する可能性があります」(正木さん)

 

ルール違反のゴミ出しがあれば、ゴミ袋を出した家の敷地内に入り、置いてやりたい気分にもなる。

 

「しかし生ゴミの場合、管理者は家の前まで来ることを承諾することは想定しにくいので、原則として住居侵入罪が成立すると考えます」(神尾さん)

 

高齢者宅で呼び鈴の反応がなければ、安否を確認したくなる。

 

「住居侵入罪になる可能性がありますが、高齢者が倒れる可能性など、緊急性が高い場合には、住居侵入罪になりません」(正木さん)

 

「急に具合が悪くなり、救急車や助けを呼ぶために家に入った場合も緊急避難に該当するため、罪に問われません。おなかの調子が悪くなり、女子用の公衆トイレに入った男性が無罪になった事件があります」(神尾さん)

 

認知症の親が隣家の敷地に入ってしまうのも、よくあること。

 

「認知症の親の場合など、自分の行為の結果について、判断する能力を全く欠いている場合は罪になりません」(正木さん)

 

「ただし、庭にある鉢植えや車を傷つけたりすれば、子に弁償を求められる可能性も」(神尾さん)

 

他人の庭に咲くきれいな花があれば、スマホで撮影してSNSに投稿したくなるもの。

 

「敷地内に入らなければ、犯罪不成立です。しかし写真に表札や家の中が写り込んでいるなどすればプライバシー権の侵害とみなされ、民事上の責任を負う可能性があります」(神尾さん)

 

なまはげや節分の鬼もピンポンを求められる時代なのだから、他人の敷地への配慮は不可欠だ。

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