■利用者だけでなく家族も実際に試してみること
福祉用具は、介護が必要になって初めて出合うもので、利用開始直後の事故も多いという。
「用具の説明を受けるときにメリットと共にデメリットも聞きましょう。
私の場合、『車いすのメリットは移動が楽なこと。デメリットは下肢の筋力低下になります』と伝えます。
そのうえで利用者本人が『もう少し歩行器を使ってみる』『それでも使いたい』と自分で考えて選ぶことで、安全に使おうという意識が芽生えます」(山上さん、以下同)
また用具を使い始める前には、利用者本人はもちろん、ケアする家族も実際に試してほしい。
「車いすで病院に行くのが目的ならば、段差、坂道など外出して現場までのルート確認を。介護者の家族も車いすに座って移動を確認してほしい。信号の段差でうまく歩道に上がれないなど、危険なところがあれば、迂回するなどの対策を講じましょう」
そして、使い方や注意点を大きく紙に書いて「見える化」し、注意点を目立つところに貼っておこう。
「車いすなら、《ブレーキのかけ忘れ注意!》など。
スイッチの誤操作の多い介護ベッドは、リモコンの定位置を決めたり、体が挟まれないよう専用カバーやクッションを置くなど、事故にならないような環境づくりも大切です」
利用者の体の変化と用具の定期チェックを忘れないようにしたい。
「ペットボトルの蓋が開けられなくなったなど、“自分でできないことが増えた”ときは、福祉用具の見直し時です。そして日ごろから1カ月、半年と点検しましょう」
介護が必要な人を補助する用具が思わぬ事故の原因にならないよう十分な注意が必要だ。
画像ページ > 【グラフあり】福祉用具による事故の被害(2023年4月~2024年11月)(他1枚)
