“50万円~”の広告も実際には“224万円”の見積もり…トラブル急増「葬儀費用の相場」ケース別に解説
画像を見る 核家族化が進み、葬儀に関わることも少なくなった現代の人たちは、葬儀の費用の相場も知らずトラブルに(写真:haku/PIXTA)

 

加えて核家族化が進み、葬儀に関わることが減っている。伝統的な宗教儀式だけでなく、葬儀費用の相場などを知る人は少ない。

 

「以前は『故人を立派な葬儀で送りたい』という人が多かったと思います。葬儀費用は、多くの香典でまかなえ、費用の心配があまりなかったからです。

 

ですが最近は、それらを知る機会が少なく、『葬儀費用はできるだけ抑えたい』という人が増えました。安い葬儀を売りにする業者も現れ、葬儀のやり方もさまざまです。こうした変化が葬儀トラブル増加の一因でしょう」

 

葬儀トラブルを防ぐには、葬儀「費用の相場」を知ることが大切だ。チャートに沿って整理しよう。まず、家族葬とは“参列者が親族のみで30人までの葬儀”を指すと考えるのが一般的だ。30人を超える「一般葬」はおよそ150万円~で、区別して考えよう。

 

家族葬を分けるのは「通夜」だ。以前は通夜と葬儀で最短でも2日かかるものだったが、最近は通夜を行わず1日で済ませる選択肢も。

 

また、葬儀社などの斎場を借りず、火葬場で手を合わせるだけという直葬や火葬式(以後、直葬)と呼ばれる形式もある。

 

「直葬でも僧侶を呼び、火葬後に料亭で故人をしのんで100万円かかったという事例もありますが、一般的には35万円~でしょう」

 

通夜はなく、葬儀社の斎場で葬儀、そして火葬を1日で済ませるのが「1日葬」。費用は50万円~。従来どおり2日間で行う「一般的な家族葬」は70万円~だという。

 

ただし、費用はこれだけではない。1日葬でも一般的な家族葬でも、飲食で費用は大きく異なる。

 

「通夜では『通夜振る舞い』を、火葬後には親族で『精進落とし』を食べる地域が多いと思います」

 

葬儀社に依頼すると、通夜振る舞いは1人2千~5千円、精進落としが1人3千~8千円が多い。料理のランクや提供する人数によって飲食代が上乗せされる。

 

ほかにも忘れてはいけないのが、「御布施」など僧侶に払う費用だ。これは宗派によりさまざまだが、数十万円かかる場合も。

 

また、たとえ火葬場で行う直葬だとしても、葬儀費用とは別に「火葬料金」が必要だ。火葬場は自治体が運営する地域がほとんどで、火葬料金は無料から高くても1万円前後という自治体が多い。

 

「東京都だけは別です。公営の火葬場が23区内に2カ所しかなく、民間の火葬場を利用する人が多いのです。そのため火葬料金は約10万円かかると覚悟してください」

 

そのうえ、香典を受け取ると返礼品を贈る習慣のある地域が多い。多くは「半返し」といって半額程度の品を後日送ることになる。

 

「費用は香典でまかなえますが、手間がかかるので、最近は香典を受け取らない葬儀もあります」

 

こうした葬儀の費用は「上限は示せない」のが恐ろしいところだ。

 

「祭壇も簡素なものから、生花をふんだんに敷き詰める『花祭壇』などもあります。骨壺や棺などそれぞれにランクがあって、お金はいくらでもかけられます」

 

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