■最高齢の97歳「命ある限り頑張ります」
そして参加者のなかで最高齢となるのが髙比良のぶ子さん(97)だ。
髙比良さんは、美容師として約30年以上働いてきた。その経験もあってか、いまも毎日自分で化粧をするおしゃれな女性だ。取材当日も、ラメ入りのアイメイクで目元をきらきらと輝かせていた。
ふだんは施設で洗濯物を畳んだり、職員の仕事を手伝ったりする人気者だという。
「職員の方に教えてもらって、頑張りました。負けちゃって悔しかったです。対戦した後は疲れて、炭酸飲料を飲みました。命ある限り頑張ります」
スタッフによると、対戦中の髙比良さんは思わず声を上げ、表情も生き生きとして、とても楽しそうだったという。
■「勝ちたい」という気持ちが新たな生きがいに
「ゲームをすると、『負けて悔しい』『勝ってうれしい』『次はこの人に勝ちたい』という気持ちが生まれます。その感情のメリハリや興奮は、ゲームだからこそ味わえるものでもあると思います」
浜さんは、それが新たな生きがいにつながっていると実感を込める。
「一喜一憂する高齢者の方々を見ていると、新たな生きがいにつながっていることを日々感じます。最初は、僕たちにも『高齢者には難しいのではないか』という思い込みがありました。でも、これほど喜んで挑戦してくれたことには驚きました」
将棋やオセロよりも、格闘ゲームのほうが高齢者に向いている面もあるという。
「将棋やオセロは長時間に及ぶこともあるため、参加者の体への負担を考えて制限時間を設けていました。ただ、それではなかなか勝敗が決まらず、不完全燃焼に終わることも多かったんです」
その点、『鉄拳』のような格闘ゲームには明確な利点がある。
「格闘ゲームなら、わずか3分ほどで勝敗が決まるので、とてもわかりやすい。将棋やオセロと比べても、皆さんの喜ぶ姿を目にする機会が多いように感じます」
現在、ケアeスポーツ大会は、あみーご倶楽部が運営する介護施設を中心に行われているが、今後は全国へ広げていきたいと浜さんは展望を語る。ほかの施設から問い合わせも寄せられているという。
「オンラインなので、環境さえ整えば全国どこからでも参加できます。参加したいという施設があれば、もちろん大歓迎です。
インターネット環境をはじめ、さまざまな問題があって導入に踏み切れない施設もあると思います。こちらから積極的にアプローチし、サポートしていきたいですね。
対戦ゲームは、見ている職員さんも楽しいんです。勝ったときに一緒に喜べるのも魅力です。97歳の方が勝ったら、ものすごく興奮しますよ」
オンラインゲームは年齢も立場も関係ない。悔しさをバネに「次こそ勝ちたい」と挑み続ける姿が、“いくつになっても持てる新たな目標”の大切さを教えてくれた。
画像ページ >【写真あり】「命ある限り頑張ります」と語る髙比良のぶ子さん(97歳・左)と「ゲームの中で初めて人を打ちました」と語る大澤春子さん(89歳・右)(他1枚)
