シリーズ人間
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「コロナめ!ですよ」伊東四朗語る最後の喜劇人としての矜持
2021/03/01 11:00「あたしなんか色気もなんにもないのにいいんですか。先日、直近の記事(シリーズ人間)を拝見したら、ハリス副大統領で。あたしはその枠に入る人じゃないですよ。いやぁ、驚いた」 伊東四朗(83)は身を乗り出してこう切り出すと、丸い目を見開いたおなじみの表情で、所属事務所のソファにその身を沈めてみせた。 こうしてインタビューは、笑いとともにスタート。主演舞 -
伊東四朗が振り返る芸歴60年間…就活全滅で演技の世界へ
2021/03/01 11:00芸歴60年超、老いを感じながらも、新作舞台に挑む「最後の喜劇人」、伊東四朗(83)。演劇の世界に入ったのは、就活で全滅したことがきっかけの一つだったという。 伊東四朗は昭和12(1937)年6月15日、東京市下谷区(現・東京都台東区)で生まれた。本名、伊藤輝男。5人きょうだい、下から2番目の三男坊だ。明治29年生まれの父・金三郎は昔気質の職人で“遊び人”。とはいえ、この“ -
伊東四朗が明かす父の顔「おしめも替え、風呂にも入れました」
2021/03/01 11:00「80代になって、あちこち衰えてきたのがわかってきたんで」 そう話すのは数々の怪演、名演で知られる伊東四朗(83)。私生活での伊東は、ことのほか家族を大切にしている。 結婚は66年。妻・冷子さん(74)との間に男の子が3人。照れ臭いのか、妻や家族の話になると言葉を濁しがちだった。 「結婚したのはあたしが29歳で、女房が二 -
『のだめ』『半沢』作曲の服部家 4代目は21歳天才バイオリニスト
2021/02/23 11:00「両親も祖父も音楽家でしたから、幼いときは、人間というのは大人になれば、みんなが楽器を弾くものだと思っていました(笑)」 そう話すのは、服部百音さん(21)。10代で幾多の国際コンクールで優勝するなど、今最も注目されるヴァイオリニストの一人だ。 父の服部隆之さん(55・隆は旧字)は、『王様のレストラン』『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)といっ -
僕は親の十四光『半沢直樹』作曲の服部隆之明かす音楽一家の歴史
2021/02/23 11:00「つい一昨日までも、このスタジオで、4月から始まる月9ドラマのテーマ曲などの録音をしてました。本来、4月放映ならば3月でも間に合うのですが、僕ら音楽の仕事も、コロナで予定がガタガタになっています」 1月最後の日曜の午後。機材がズラリと並んだ東京・市谷の録音スタジオで、自身の近況を語り始めたのは服部隆之さん(55・隆は旧字)。『王様のレストラン』『のだめカンタービレ』(フジ -
枝元なほみの「夜のパン屋さん」コロナ禍のパン廃棄や困窮支援に
2021/02/15 11:00「チラシ配り、行ってきます!」 昨年12月25日、クリスマス当日の午後6時過ぎ。師走の街を帰宅する人々が足早に行き過ぎるなか、東京・神楽坂駅前の書店「かもめブックス」の軒先で3人の男女がテーブルを並べ始めた。 頬を赤く染めながら、ダッフルコートにトレードマークのバンダナ姿で、早速、路上でチラシを配り始めたのが料理研究家の枝元なほみさん(65)。 -
震災の痛みに寄り添う食 料理家・枝元なほみが考える“食べる力”
2021/02/15 11:00料理研究家の枝元なほみさん(65)は、料理研究家という仕事をしているのに、料理学校に通ったこともなければ、修業時代もない。いつも現場に身を置くことが“修業”だった。 「私、なろうと思って料理研究家になったわけじゃないの」 大学3年のとき、友人の始めた中野の無国籍料理店「カルマ」で働き始めた枝元さん。これが、料理の仕事の端緒となる。 &nbs -
柄本佑初めて語る亡き母の思い出「メチャメチャにダメ出しを…」
2021/02/08 11:00俳優・柄本佑(34)。父は言わずと知れた個性派俳優の柄本明(72)で、母は、舞台をはじめ、ドラマ、映画と活躍した女優の角替和枝さん(享年64)。弟の時生(31)も売れっ子俳優で、姉も映画制作に携わっている映画一家だ。 そして佑が12年3月に結婚したのが女優の安藤サクラ(34)で、義父は俳優の奥田瑛二(70)、義姉は映画監督の安藤桃子(38)と、こちらもまさに映画一家。 -
柄本佑語る父との師弟関係秘話「殴られるより怖い瞬間がある」
2021/02/08 11:00真っ白な壁に囲まれたスタジオの一角に、細身の青年が膝を折ってしゃがみ込んでいる。濃茶のジャケットとパンツに身を包み、無精髭をたくわえた細面で、先ほどからカメラマンのリクエストに応えて首をかしげたり、顎を引いたりしている。ときに腕組みし、膝を抱えていた彼が立ち上がると、今度は周囲が見上げることになった。 スッと伸びた長身から、切れ長の両眼で送るカメラ目線は、トップモデルのル -
初の女性アジア系米国副大統領 カマラ・ハリス氏に集まる期待
2021/01/25 11:00「私は女性としての最初の副大統領かもしれませんが、最後ではありません。なぜなら、今夜、この様子を見ているすべての小さな女の子たちが、この国が可能性の国であることを知るからです」 これは、昨年11月7日、アメリカ大統領選挙の結果を受け、ジョー・バイデン氏(78)の勝利が伝えられた直後のカマラ・ハリス氏(56・以下敬称略)のスピーチだ。温かいまなざしで誇らしげに語りかけるカマ -
初の女性の米副大統領誕生“ガラスの天井”破った母の教え
2021/01/25 11:00アメリカの女性やマイノリティには分厚い“ガラスの天井”があるという。どんなに優秀でもぶち破れない壁がある、と。 「誰もなし遂げていないことなら、なぜ挑戦しないの?」そう言い、次々とその天井を破ってきたカマラ・ハリス氏(56・以下敬称略)。女性初の“アメリカ副大統領”だ。 カマラに絶大な影響を与えたのは、母だった。科学者の母は、子どもたちが質問して -
本誌記者に不自然な笑み…小室佳代さんの半生取材で見えたもの
2021/01/09 06:00小室佳代さんの元婚約者の暴露により始まった、眞子さま婚約を巡るトラブル報道は、ますます過熱する一方だ。だが、当の圭さん、そして母・佳代さんは、沈黙を守り続けている。ただひとつ言えることは、佳代さんは、夫が自死したあと、母ひとり子ひとりで、なりふりかまわず“幸せ”をつかみ取ろうとしてきたに違いないことだ。 だが、そのためにおこなってきたこと、彼女の半生を追い、見えてきたもの -
黒柳徹子語るシャンシャンの魅力「命名には32万件の応募が」
2021/01/04 06:00「残念ながら、シャンシャンは来年6月には中国に返還されてしまいます。悲しいですが、元気に大人になってほしいです」 そう語るのは、芸能界一のパンダ研究者を自認する黒柳徹子さん。 東京・上野動物園の人気者といえば、上野生まれのジャイアントパンダ、メスのシャンシャン(3)。12月末予定の中国への返還が、来年5月末まで延期になったことでもニュースになった -
シャンシャンは「奇跡の子」自然交配の難関乗り越えたアイドル
2021/01/04 06:00丸くてふわふわのジャイアントパンダ。コロコロと遊びまわり、一生懸命に竹をかじる愛らしさが魅力的だ。なかでも、上野生まれのシャンシャン(3)は日本中で話題に。奇跡的な確率の自然交配で生まれ、すくすく育ち、毎日、私たちにとびっきりかわいい姿を振りまいてくれた。 来年5月末、数が少ないパンダの繁殖のためにも中国に返還されるシャンシャン。パンダの未来を背中に背負い、新たな旅に出る -
シャンシャン返還延期に その丸い肩にかかった“パンダの未来”
2021/01/04 06:00東京・上野動物園の人気者といえば、上野生まれのジャイアントパンダ、メスのシャンシャン(3)。12月末予定の中国への返還が、今月10日、来年5月末まで延期になったことでもニュースになった。 「やはりという思いです。返還前には必ず検疫期間がありますが、シャンシャンは検疫に入る様子もなく、通常どおりの展示が続き、12月になっても返還日の発表がなかった。パンダファンの間では『シャ -
20歳で中学に…アイヌ解放に尽力の宇梶静江さん語る学生時代
2020/12/21 11:00「最近はね、体悪くしたこともあって、刺繍はぜんぜんやれてなかった。早くまた毎日、刺繍ができるまでに、体調を戻したいなと、そう思ってるところなの」 彼女はこう言って苦笑いを浮かべた。「最近はやってないから」と言いながら、それでもじつに手際よく、次々と布に針を刺し糸を通していく。そのスピードと、美しさに記者が見とれていると、彼女はもう一度、にっこりとほほ笑んでみせた。 -
“アイヌ”告白は生死かけた決意…宇梶静江語る解放運動の覚悟
2020/12/21 11:00宇梶静江さん(87)は、詩人で、アイヌの解放運動の先駆者であり、俳優・宇梶剛士さん(58)の母でもある。 生まれ育った北海道浦河郡では、道を歩けばはやしたてられ犬をけしかけられ、まともに学校にも行けなかった。23歳で東京に出て、アイヌ開放活動を始めてから四半世紀の間、手ごたえを得られずに苦悩していたとき、目の前に現れた「古布絵」。それは天啓だったーー。 -
“DV加害者更生プログラム”始めた元DV夫「妻の決心のおかげ」
2020/12/14 11:00「人は感情や生理反応を直接変えることはできません。でも、思考と行為から変えることで、感情と生理反応を変えていくことができるのです」 パソコンの画面に並ぶ参加者にそう語りかけるのは、ファシリテーターを務める中川拓さん(52)。その日の参加者は男性3人。拓さんの妻・亜衣子さん(41)も、夫と並んで、参加者の話を注意深く聞いていた。 これは、中川夫妻が -
“二度としない”を繰り返す 元DV夫が振り返る妻が出ていった日
2020/12/14 11:00「“二度としない”を繰り返すしかないんです」 そう話す中川拓さん(52)はとても元DV加害者には見えない。しかし知らずのうちに妻の亜衣子さん(41)を苦しめ、離婚の危機になった過去がある。 自らの行動に気が付き、加害者に“なれた”のは、被害者だった妻の勇気と行動のおかげ。だからこそ、世のDV加害者にも気づきを与え苦しむ人を減らしたい。一般社団法人 -
元JK課・現100年料亭の若女将 コロナでも亡くなった母の遺志守る
2020/12/07 11:00国産メガネフレームのシェア95%を占める、福井県鯖江市。その中心にある鯖江駅を出ると、まずは大きな丸メガネのオブジェが出迎えてくれる。 地元の老舗料亭「御殿當田屋」には、駅前のメイン通りを歩いて、8分ほどで到着。ちょうどそのころ、若女将の栗田もも乃さん(24)は、グレー地に黄や白の花びら柄がちりばめられた着物に、白地の帯を合わせ、姿見で全身をチェックしていた。 &n -
100年料亭の若女将は24歳 母の最期の言葉は「娘を応援して……」
2020/12/07 11:00ももちゃんこと、料亭當田屋(とうでや)の若女将・栗田もも乃さんは、96年生まれの24歳。家族経営している當田屋は、江戸末期から明治初期に創業し、ももちゃんで4代目。小学校のときから、将来の夢は「女将さん」と書いていた。しかし彼女が若女将としてお店に立つまでには、様々な波乱があった。 中学を卒業し、5年制の高専の電子情報工学科へ進学したももちゃん。3年生になる直前、鯖江市役 -
「パパは僕たちを捨てた」と…がん克服の笠井アナ語る家族の絆
2020/11/30 06:00「これまで、ありがとう。そして、これからもよろしく!」 スマホの画面を通じて、2階の自室から1階のリビングにいる妻の茅原ますみさん(56)に結婚30年の感謝の言葉を送ったのは、フリーアナウンサーの笠井信輔さん(57)。 「まさか、テレビ電話で30年分のお礼を言うことになるなんて」 コロナ真っただ中の今年6月2日の夕刻。1 -
「私の役割は元気の照射」妻語る笠井アナの“全身がん”闘病
2020/11/30 06:00ごめんね、病気になっちゃった。切ない顔で妻にそう告げた笠井信輔さん(57)。フリーアナウンサーになり、一層仕事へやる気が満ちていた時期だった。そんな夫を励まし続けた妻の茅原ますみさん(56)は元テレビ東京のアナウンサー。二人は、いわば同期のアナウンサーなのだ。 「じゃ、セカンドオピニオンを受けて」 笠井さんからがんを告げられたとき、泣きだすんじゃ -
山谷でけんちん汁店営む老夫婦 故郷を失った人の帰る場所に
2020/11/16 11:00「田舎に帰ったらお袋にしわしわの手でお金を渡されて、もう帰ってくるなって……」 1杯のけんちん汁をすすりながら、涙をこぼす客。うなずき、話を聞くけんちん汁店「大倉屋」の店主・石橋新平さん(84)・ヒロ子さん(83)は、変わりゆく山谷の町を見続け、労働者たちの切ない身の上に耳を傾けてきた。 大倉屋のけんちん汁は、もとはヒロ子さんの故郷の味。栄養たっ -
山谷のけんちん汁店 84歳の店主が見た日雇い労働者の町の盛衰
2020/11/16 11:00午前4時半。夜も明けきらぬ仄暗い路地裏に、小気味よい包丁の音が響く。薄く開いたシャッターの隙間からは音とともに、厨房のほのかな明かりと湯気が店外に漏れ出ていた。 ここは、けんちん汁の専門店「大倉屋」。 なかでは、狭い厨房で高齢の男女が、開店の準備に忙しない。にんじんや大根、ごぼうなど、切ったばかりの野菜を大きな鍋で勢いよく炒めていたのは、店主の石