「1月17日、トランプ米大統領が、主要メディアが発信した、大統領に否定的な報道に『フェイクニュースだ』とかみつき、その中からベスト11を選出。『フェイクニュース賞』なるものを発表して話題になりました」(ITジャーナリスト)
フェイクニュースとは虚偽報道。その真偽はさておき、フェイク情報でいちばん怖いのは、SNSで拡散して特定の人物を傷つけたり、周囲の混乱を招くことだろう。
「SNS情報には意図なく流された“ウワサ”も含まれますから、発信源も真偽も曖昧なまま拡散されることがあります。雑談だったではすまされない事件に発展することも……」(前出のITジャーナリスト)
SNSを利用する機会が増えた今、ご近所や職場であらぬウワサを流されて迷惑を被ったという人は多い。そこで、本誌に寄せられた“仕事のフェイクニュース”の中から、「フェイクニュース大賞」を決定!
■ヘンなおじさんとの“不倫疑惑”で職を失いかけた
都内スポーツジムで、週に4~5コマのダンスレッスンを受け持っている、美人インストラクターのCさん(33)。
「生徒は20~50代の女性が中心ですが、最近はちらほら男性の姿も増えてきました。そこで特に異彩を放っていたのが、いつも黄色いレオタード姿の40代のおじさん。関わりたくなかったのですが、ほかの生徒と同じようにスマホでのツーショット写真も。駅までの帰り道で、おじさんが“ばったり”を装い待ち伏せしていたこともあり、怖いなぁとは思っていました」
しばらくするとCさんのクラスの生徒が激減。不思議に思っていると、ジムの上司に呼び出された。
「キミはプロ失格。この写真は、ご主人もご存じなの?」と見せられたのが、黄色いおじさんのフェイスブック。
「そこには、私がまるで自分の彼女だと誤解させるような記述が並んでいました。勝手に私の動画や写真がアップされていて、一緒に居酒屋に行ったようなニュアンスまで。しかも軽妙で面白い文章だったからか、かなりの“いいね!”が押されていました」
弁護士に相談し、何とか写真や記述は削除できたという。
■夫が流した嘘の“訃報”。妻も共犯にされてしまった
夫が発したフェイクに「バカ夫と別れたい」とこぼすのは、専業主婦のDさん(55)。
「退職金の額にも影響するほどの、大事な取引があった日のこと。あろうことか寝過ごした夫は顔を真っ青にして、プロジェクトチームのグループLINEに『母親が急死』と送信。私には『4日間休むから、俺はいないことにしてくれ!』と懇願して、自室にこもってしまいました」
その日の夕方、神妙な面持ちで、取引を終えた上司が訪ねてきて、仕事仲間10人分の香典を手渡してきた。
「奥で息を潜めていた夫に詰め寄ると『事故とか危篤とかでは休めるレベルじゃなかった。だから死んだことに……』と。翌日のフェイスブックには《今日は通夜でした。お袋、ありがとう》というメッセージとともに喪服姿の写真をアップ」
フェイスブックにはたくさんのお悔やみの言葉や、見ず知らずの方からの励ましの言葉まで。
「念には念をと喪中はがきを作りました。来年には三回忌をしなくては……」
もはやSNSは「人の噂も七十五日」という言葉など通用しない領域。もし“被害者”になったときは慎重に対処を。