「学校はいらない」が持論の堀江貴文氏。今月、初の本格教育論『すべての教育は「洗脳」である』(光文社新書)を上梓し、自身も最高学府出身だけに教育への関心は高く、同テーマの発言に多くの人々が注目する。では、これからの教育の理想形とは何か、若者はいかに生きる道を切り開けばいいのか。ズバリ本音を披露してもらった。
「教育はよく『投資』にたとえられますが、現状はそうなっていない。いわば『貯金』にとどまっています。貯金とは、進学、引越し、転職、結婚、老後などの『いざという時』を想定して買いたいものを我慢し、お金をひたむきに蓄えること。学校もこれと全く同じで、『将来のリスク』に備えて今この瞬間の『やりたい』という気持ちを生徒にこらえさせ、代わりに学歴や資格、スキルなどを『蓄え』させる機関です。これでは、言われたことは何でも器用にこなせるが平凡な“オールB型”人間しか育たない。すなわち、どこにでもいる交換可能な人材です。これでは早晩、他の人間はおろか、AIにさえポジションを奪われてしまう。
今の時代を生き残るには、自分の価値、いわば“時価総額”を上げなければなりません。その方法はシンプルで、より『レア』な人材になればいいだけ。目標は100万人に1人の人材です」
しかし、「100万分の1」とはオリンピックの金メダル級の確率だ。これは限られた天才にしか達成できないのではないか。
「まず、対象や分野は何でもいいということを念頭に置いてください。そこで『100人の中で1番になる』ことを考えるとどうでしょう。頑張れば何とかなれるものが見つかるのではないでしょうか。その『100分の1』の要素を自分の中で3つ見つければいいんです。そして、3つを掛け合わせれば『100万分の1』になれます。
たとえば高校生で起業した椎木里佳さん。彼女は「現役女子高生」「起業」「社長」という3つの“タグ”を得たことで一気にスターダムに駆け上がった。また、在日アメリカ人で人気お笑い芸人の厚切りジェイソン氏。彼は『在日外国人』、『IT企業役員』、『お笑い芸人』という3つのタグを持つ、まさに100万分の1の人材です。
さらに極論すれば、有名人の養子になれば『○○二世』を名乗れ、一瞬で唯一無二の人材になれる。実際に政治や歌舞伎などの伝統芸能の世界では養子によって『一門』の存続が図られてきているので、決して絵空事ではありません。もちろんこれはレア中のレアケース。もっと手っ取り早いのは、好きなものを突き詰めて『コンビニアイス評論家』を名乗るアイスマン福留氏のように、自分オリジナルの肩書をつくれば100万分の1どころか一気にオンリーワンになれます」
自分の得意分野を3つ探し、それらを掛け合わせたレア人材となって世を渡る――成功するか否かは当人と運次第だが、学歴や資格などがもはや通用しない現代、サバイバルのために有効な考え方であるのは間違いない。
『すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論』(光文社刊・税込799円)
著者プロフィール
堀江貴文(ほりえたかふみ)
一九七二年、福岡県生まれ。本音で本質をえぐる発言が人気を集める敏腕実業家。SNS株式会社ファウンダー。1991年、東京大学に入学(後に中退)。在学中の96年、有限会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)設立。2002年、旧ライブドアから営業権を取得。04年、社名を株式会社ライブドアに変更し、代表取締役CEOとなる。06年1月、証券取引法違反で逮捕。11年4月、懲役2年6カ月の実刑判決が確定。13年3月に仮出所。主な著書に『稼ぐが勝ち』(光文社)、『ゼロ』(ダイヤモンド社)、『本音で生きる』(SBクリエイティブ)、『99%の会社はいらない』(ベスト新書)など多数。