「予防接種は受けるメリットだけでなく、感染症にかかったときの症状、合併症や重症化したときの後遺症や死亡する確率などのデメリットも医師から説明を受けてください。そして、最終的に予防接種を受けるかどうかを決めるのは、あくまで親御さんです」
そう語るのは、とりうみ小児科の鳥海佳代子院長。小学生の男の子と女の子の双子のママでもある鳥海先生は『小児科医は自分の子どもに薬を飲ませない』(マキノ出版)を出版した。
今年10月からB型肝炎ワクチンの定期接種がスタート。ほかにも多くの予防接種がある。インターネット上でも賛否両論がある予防接種について悩んでいるお母さんも少なくない。そこで、子どもが受けるワクチンの特徴を紹介(※「定期」は定められた期間内で受ける場合は原則無料。「任意」は自己負担)。
【B型肝炎】定期
肝硬変や肝がんなど肝臓の病気になるのを防ぐ。10月から原則無料の定期接種に。0歳のうちに3回接種する。
【ヒブ】定期
5歳未満に多いヒブ感染症による肺炎、髄膜炎などを予防、生後2カ月から4回接種。副反応は発熱や腫れ(※副反応として、きわめてまれにアナフィラキシー、けいれんを起こしたり、血小板減少性紫斑病、脳炎などの重い病気にかかることがある)。
【小児用肺炎球菌】定期
肺炎球菌感染による肺炎、髄膜炎、菌血症などを防ぐ。生後2カ月から4回接種。腫れやしこりの副反応も(※副反応として、きわめてまれにアナフィラキシー、けいれんを起こしたり、血小板減少性紫斑病、脳炎などの重い病気にかかることがある)。
【四種混合(ジフテリア・百日ぜき・破傷風・ポリオ)】定期
死亡したり重い障害を引き起こしたりする病気を予防する。生後3カ月から4回接種。副反応は発熱や腫れ(※副反応として、きわめてまれにアナフィラキシー、けいれんを起こしたり、血小板減少性紫斑病、脳炎などの重い病気にかかることがある)。
【BCG】定期
抵抗力の低い乳児の結核の発症や重症化を防ぐ。1歳までに接種。まれにリンパ節の腫れ赤みが出ることも(※副反応として、きわめてまれにアナフィラキシー、けいれんを起こしたり、血小板減少性紫斑病、脳炎などの重い病気にかかることがある)。
【MR(麻しん・風しん)】定期
はしか(M)と風しん(R)それぞれのウイルス感染を予防。1歳から接種。副反応は発熱や腫れなど(※副反応として、きわめてまれにアナフィラキシー、けいれんを起こしたり、血小板減少性紫斑病、脳炎などの重い病気にかかることがある)。
【水ぼうそう(水痘)】定期
命に関わることもある病気のウイルス感染や重症化を防ぐ。1歳から2回接種。副反応は腫れや発熱(※副反応として、きわめてまれにアナフィラキシー、けいれんを起こしたり、血小板減少性紫斑病、脳炎などの重い病気にかかることがある)。
【日本脳炎】定期
2〜4割の死亡率、蚊が媒介するウイルスが原因の病気を予防。3歳から4回接種。副反応は発熱や鼻水(※副反応として、きわめてまれにアナフィラキシー、けいれんを起こしたり、血小板減少性紫斑病、脳炎などの重い病気にかかることがある)。
【ロタウイルス】任意
乳幼児のウイルス感染による急性胃腸炎などを予防する。2種類あり、生後14週から接種。副反応はぐずりや下痢。
【おたふくかぜ】任意
耳や顎の下が腫れ、髄膜炎や難聴などの合併症を起こすウイルス感染による流行性耳下腺炎を予防。1歳から接種。
【インフルエンザ】任意
ウイルス感染による発症、重症化を防ぐ。生後6カ月から接種可能。毎年10〜11月に接種。
「私の子どもが予防接種を受けたころと、今ではだいぶ変わっていますが、私だったら『BCG』『麻しん・風しん』は積極的に受けさせるでしょう。『水痘』と『おたふくかぜ』も罹患すると長期間、保育園を休まなくてはならなくなるので、受けさせますね。また、子どもは集団生活することが多く、感染リスクが高いので『B型肝炎』、さらにツラい百日ぜきを考えると『四種混合』を接種させます。『ヒブ』と『肺炎球菌』はもともとありふれている菌なので悩むところですが、最終的には受けさせます。ただし『日本脳炎』と『ロタウイルス』は迷っていて、私としてもまだ結論が出せていません」(鳥海先生)