肺がん「ステージ4の生存率高い」全国がんセンターTOP3
「今回のデータでは、肺がんがもっとも生存率が低い。理由のひとつはがんに侵された肺を全摘することが困難だからです。いかに肺機能を残しながら取りきるか。高出力レーザーを日本でいち早く取り入れた『大阪府立成人病センター』を代表する存在・兒玉憲先生の功績は大きいです」
と語るのは、聖マリアンナ医科大学助教授をへて、現在は神経内科医および作家として活躍する米山公啓先生だ。今年10月、全国のがん診療の中核をなす31病院で作る『全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)』が加盟する病院ごとの5年生存率を発表し話題を呼んでいる。
「日本の医療は地域格差がなく公平というのが大前提。数字が出ると、同じがんでも病院によってかなり生存率に差があることがわかってしまう。また、それをランキング化すると、上位の病院に患者が殺到。収集がつかなくなると考えて、これまで病院ごとの生存率を発表してこなかったのだと思います」(米山先生)
今回のデータは調査方法その他に病院間でバラツキがあり、ランキングにできるものではないと名言している。だが、米山先生はこう続ける。
「たしかにがんの生存率を公平に見るのは難しい。しかし、ステージ4(より症状が進んだがん)でどれだけ成果をあげているかを見れば、医師のレベルを見るいちばんわかりやすい尺度になるでしょう。また外科というのは、とにかく経験がものを言います。今回は、3年間で計300例以上の手術数の病院を対象としました」
肺がんにおいてステージ4の生存率が高いがんセンターを調べてみたところ、TOP3は下記の通りとなった。
1.九州がんセンター(症例数537、ステージ4の生存率8.5%)
2.兵庫県立がんセンター(症例数848、ステージ4の生存率7.8%)
3.大阪府立成人病センター(症例数808、ステージ4の生存率7.6%)
「症例数が兵庫や大阪府立の半分近くなので、比較が難しいが、肺がんのステージ4はきわめて難しい手術。そこで全国トップの九州がんセンターは注目に値。兵庫と大阪府立は症例数、ステージ4生存率ともほとんど差がなく、ともに優秀と見ました」(米山先生)