「俺は野菜が嫌いなんじゃなくて、野菜を食べる意味がわからないんです。同じ食べるんだったら、野菜を食べるよりも、肉をかみちぎるのに労力を注ぎたい。だって、肉のほうが圧倒的にうまいじゃないですか!」
と話すのは、お笑いコンビ「インパルス」の堤下敦さん(36)。彼のように野菜を食べる意味がわからない、あるいはまったく野菜を食べない、といった、偏った食生活でも大丈夫なのだろうか?
「大丈夫です。第一、以前の日本人は、生野菜を食べる習慣なんてなかったんですから。無理に嫌いなものを食べるよりも、本能で食べたいものを食べるべきです」
そう語るのは、『不摂生なのに、なぜか「健康な人」の習慣』(PHP文庫)など、食にまつわる著書も多い、イシハラクリニック院長の石原結實(ゆうみ)先生。石原先生によると、そもそも動物は、好き嫌いがあるというのが当たり前なのだという。
「好き嫌いのない動物というのは、1種類もいません。あんなに大きな象やキリンでさえ、草しか食べない。ライオンに野菜や果物を食えといっても食べません。動物はみんな偏食なんです。バランスを考えて食べている動物なんて、人間だけです。そんな人間だけが、いろいろと病気をしているというのも事実なんです」(石原先生・以下同)
メジャーリーグで活躍するイチローや体操の内村航平選手、中田英寿、タイガー・ウッズなど、有名アスリートにもほとんど野菜を取らない人が何人もいるのも事実だ。
「もともと、人類は穀類と菜食の動物だったんですが、北に移住を進めるに従って食べ物がなくなり、肉食を始めるようになります。肉は体を温める作用があるためです。そして、その温まりすぎた体を冷やすため、食べるようになったのが生野菜なんです」
それでも、親としては子供に少しでも野菜を食べさせたいもの。そのためには、「子供の体温を上げること」と石原先生は提案する。
「体温の4割は筋肉から発生しますから、筋肉運動をしっかりすること。体温が高くなれば、自然と体が野菜を食べたくなります。でも、人間の動物としての本能は、もっと尊重してもいいと思います。何事にも無理は禁物。食べたいものを食べて、もっと本能で生きましょう」
そんな石原先生の言葉を証明するのが、前出の堤下さんだ。肉や炭水化物中心の生活に加え、酒もタバコも大好きだという、不摂生を絵に描いたような生活ぶりだが……。
「人間ドックで診てもらいましたが、36歳で血管年齢が20歳、尿酸値も正常、悪いところはどこもなしのパーフェクトボディでした。多少、コレステロールが高いくらい。俺は、野菜を食べないから太っているんじゃなくて、人の何倍も食べてるから太ってるだけなんです(笑)」