「衣替えももうすぐ。ダイエットが気になる季節ですね。また、女性のなかには、初夏の陽気にもかかわらず、冷え性に悩まされている方もいるでしょう。なかなか痩せない、冬でもないのに体が冷える……その悩み、『むくみ腸』のせいかもしれません」

 

そう話すのは、順天堂大学教授の小林弘幸先生。今回は、ひどくなると重病を引き起こすという「むくみ腸」について、小林先生に解説してもらいました。

 

「外科医として腸の手術で執刀した際に実感したのですが、腸閉塞や感染を起こした腸はむくんでいて、動きが悪くなっています。これは、炎症によって腸内の水分の排出がうまくいかず、腸壁の細胞一つ一つが膨らんでしまっている状態。ちょうど、ヤケドによって水ぶくれしているようなものです。すると、腸の蠕動運動はストップ!」

 

すると、脂質や糖の分解がうまくいかなくなるため、エネルギー代謝が滞り太りやすくなり、水分排出も滞るため、顔や足などもむくみやすくなってしまうという。

 

「腸閉塞など大きな病気にかかっていなくても、腸の血流が滞っていれば『むくみ腸』は引き起こされるもの。便通も悪くなるので、悪化すると大腸がんなど重篤な病気を発症する心配もあります。冷え性や痩せにくいといった自覚症状のほかにも、●便は出るが、おなかがスッキリしない。●いつもおなかが張っている。●おならが臭い。などが当てはまる場合は注意が必要です」

 

では、むくみ腸が疑われる場合はどうしたらいいのか? もっとも手っ取り早いのは、腹圧を高めることで血流をアップさせることだという。腸管が刺激され、たまった水分の排出が促されるのだ。

 

「おなかを絞るエクササイズはむくみとりにピッタリ。まずはウエストのいちばんくびれているあたりを左右からつかみ、息を吸いながら全身を反らせます。次に、息を吐きながら手で前へギューッとおなかを絞り、上体を前に倒しましょう。目安はだいたい5~10回」

 

最近の研究で、加齢によって腸内の「抗菌ペプチド」が減少することがわかったという。これは、腸の上皮から出て、細菌などをやっつける物質だ。マウスを使った実験結果を人間の年齢に当てはめると、25歳時に比べ80歳時では抗菌ペプチドが4分の1にまで減少。これによって、腸のバリア機能は衰退する。

 

「つまり、年齢を重ねるほど腸は炎症を起こしやすくなり、むくみ腸も引き起こしやすくなるといえるでしょう。LB81という乳酸菌にはこの抗菌ペプチドを増加させる作用があるので、エクササイズと合わせて毎日のヨーグルトも、むくみ腸解消にはオススメです」

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