「スギ花粉症をはじめとするアレルギー疾患の根本的な治療法は現在、免疫療法しかありません。これは、アレルギーの原因物質を少しずつ体内に取り込むことで慣らしていき、アレルギー反応を起こさせないようにするというものです。’14年10月から保険適用になった『舌下(ぜっか)免疫療法』は、副作用も少なく、患者さん自身も取り組みやすい免疫療法として、注目を浴びています」

 

スギ花粉症治療の最前線について語るのは、アレルギー専門医で「ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック」院長の永倉仁史先生。同クリニックでも’14年10月以来、すでに100人の患者が舌下免疫療法を始めているという。どんな治療法なのか?

 

「舌下免疫療法では、『シダトレン』という、スギ花粉が原料のエキスを使います。舌の裏にシダトレンの薬をたらし、2分間そのままの状態を保ってから、飲みこみます。最初は少量から服用を始め、2週間かけて徐々に増量。3年以上続けることで、年々効果が表れます。最終的には、体が花粉を敵と判断しなくなり、侵入してもアレルギー反応を起こさなくなるのです」

 

薬の服用は、スギ花粉が飛散していない時期も含めて、毎日1回。長期間、継続することで効果の出る治療法なので、途中で挫折しないことが大切だ。永倉先生は、参加した臨床研究の中で、千人以上のスギ花粉症患者にシダトレンを投与してきたと話す。

 

「2年間、継続して投与した患者さんのうち、約8割の方の症状が軽くなりました。さらに1割の方は、花粉のシーズンのピークでも、薬を使わない程度にまで症状を抑えることができました」

 

これを読んで「今すぐにでも始めたい!」と思う人も多いだろうが、残念ながらこの療法、花粉シーズンに入ってしまうと、始めることができないそう。体が花粉に敏感になっているため、体に取り込むアレルギー物質にも反応しやすくなっているからだ。

 

「飛散中の1〜5月の間は避けましょう。今年の6月から始めれば、来シーズンには効果を感じられるはず」

 

治療資格を持った認定医のみが実施できる治療法なので、まずは病院で認定医がいるか確認を。

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