「健康に長生きするための秘訣が、外見の若々しさを保つことです。家事や仕事、趣味などに前向きに取り組み、生き生きとした毎日を送ることは脳の刺激にもなり、健康に導いてくれますし、ボケにくいという研究結果もあります」
そう話すのは、アンチエイジングの専門家である白澤卓二先生。日本人女性の平均寿命は年々延びているが、健康寿命との差は約12年もある。
「健康寿命を延ばすためには、まず外見のケアを心がけてください。特に女性の場合、見た目が若く見える人ほど健康で長生きできる傾向が強いのです」(白澤先生)
デンマークで70歳以上の双子1,826人を調査したところ、見た目年齢が若いほうが、より寿命が長かったという。ほぼ同じ遺伝子を持つ双子であっても、生活環境の差で、見た目年齢や寿命に差が出てくるのだ。
今回は、ある女性の昼〜夕方の生活スケジュールをモデルにして、健康寿命を延ばす生活習慣を、白澤先生にアドバイスしてもらった。
【PM0:00】サラダバーで多く取ったほうがいいのは、パプリカ or ブロッコリー?
アメリカ・エモリー大学医学部のダニエル・カルマン博士らのチームは、線虫を使った健康寿命を延ばすための調査を行った。線虫のエサである大腸菌には、インドールという化学物質を生み出すタイプと生み出さないタイプがいるが、前者を食べる線虫のほうが活動的だったという。インドールは腸壁のバリア機能を整え、炎症を抑える効果がある。
「インドール系の化合物は、ブロッコリーやケールなどの野菜にも含まれており、がん予防効果も報告されています。腸内環境を整え、『ピンピンコロリ』を目指しましょう」(白澤・以下同)
【PM3:30】スーパーでのお買い物。買うなら、豚バラ肉 or 鶏レバー?
女性にとってシワがない若々しい外見を保つことは、健康寿命を延ばすうえでとても大切。鶏レバーにはヒアルロン酸を作るレチノールが入っており、シワができにくい肌にしてくれる効果が。また鶏肉、特に手羽先はコラーゲンを作るのに必要なビタミンB6がたくさん含まれているので、こちらもあわせて積極的にとってほしい食材。美肌寿命が延びて、脳も活性化される。
【PM4:00】音楽を流しながらの家事で聴いたほうがいいのは、ポップス or クラシック?
ドイツのルール大学による実験では、モーツァルトやシュトラウスなどクラシック音楽を聴くと、血中脂質濃度と心拍数が下がったという。血液中の脂質は増えすぎると、血管がつまりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす。
「ポップバンドABBAの曲では、そのような効果は認められませんでした。新宿白澤記念クリニックで、オルゴールでクラシック曲を聴かせたところ、脳の深い部分が刺激されたのか、涙ぐむ人が多かったです」
【PM5:30】働いた後は、1時間以上座ってのんびり or 30分座ってすぐ動く?
ニュージーランド・オタゴ大学のメレディス・ペティー博士らの研究チームは座位中心の生活習慣が中性脂肪値を上昇させていることに注目。36人の男女で実験したところ、30分ごとに2分間のウオーキングをして、座位を定期的に中断することで、中性脂肪を下げられることを発見した。
「家庭でテレビを見ると30分以上座りっぱなしということもあります。特に中性脂肪値が高い人は、部屋の中でもいいので、30分ごとに2分間歩いてください」
白澤先生は健康寿命を延ばす生活習慣について、こう語る。
「ちょっと見直すだけで、皆さんの健康状態も劇的に改善されます。ぜひ参考にしてください」