「わが家では、毎日欠かさず梅干しを食べているせいか、家族みんな風邪知らずなんですよ」
そう語るのは、和歌山県日高郡みなべ町の梅農家に嫁いでおよそ30年の山本貴子さん(54)。“家族の健康の秘訣は梅”と言い切る山本さんの口調も、はつらつとしている。
「75歳になる姑も元気ですし、曽祖母は99歳で大往生でした。夫は50代ですが、メタボではありませんし骨密度はなんと20代並み!子どもたちも学校を休んだことがないので小中学校で皆勤賞をいただきました。次女は小学校の“いちばん好きな食べ物”をテーマにした作文で、梅干しのことを書いたくらい(笑)。家族みんなの大好物です」
今が旬の梅だが、収穫量1位は和歌山県で、全国の約65%を占める。なかでも山本さん一家が暮らす、みなべ町は梅のトップブランドとして知られる「南高梅」発祥の地としても知られている。
「南高梅は大ぶりで、部分的に美しい紅色をさすのが特徴。果肉が厚く、皮が薄く、香りがいいのが自慢です」
’15年には国連食糧農業機関によって「みなべ・田辺の梅システム」が世界農業遺産に認定された。この地域では梅の受粉のために、古くからニホンミツバチを利用しているのだが、400年にわたり高品質な梅を作り続けてきた梅農家たちの工夫と努力が世界で認められることになったのだ。
「梅は三毒を断つ」といわれていたように、梅干しは整腸作用による便秘改善、静菌作用による食あたり予防、夏バテ防止、熱中症予防などの効果があるとされてきた。名産地・みなべ町では、その風味や効能をフル活用している。そこで今回、梅干しを使うことでグンッとおいしくなる山本家のレシピを紹介。
■鶏肉のソテー梅マスタードかけ
【材料】
鶏もも肉…1枚
A(梅干し…2個、はちみつ…大さじ1、マスタード…大さじ1)
オリーブオイル…適量
サニーレタス…適量
【作り方】
1. 鶏肉は身の厚い部分に切れ目を入れ、両面を数カ所フォークで刺す。
2. オリーブオイルをフライパンで熱し、1を皮目から先に両面焼く。
3. サニーレタスと2を器に盛り、合わせたAをかける。
■梅と豚肉のミルフィーユ
【材料】
キャベツ…1/3個
豚ばら肉薄切り…200グラム
梅干し…2個
酒…大さじ2
【作り方】
1. キャベツは大きめのざく切りにし、豚肉は食べやすい大きさに切る。
2. 耐熱容器にキャベツと豚肉を交互に重ね入れながら、間に梅干しをぬる。
3. 酒をふり、ラップフィルムをかけて電子レンジ(500W)で約8分加熱する。
■マヨ梅ツナのおにぎらず
【材料】
ツナ缶…小1缶
梅干し…1個
マヨネーズ…大さじ1
ごはん…茶碗3杯分
焼きのり…2枚
【作り方】
1. ツナ缶は汁を切り、梅干しとマヨネーズであえる。
2. のり1枚にごはん半分を平らに広げ、1を真ん中にのせ、のりで包みながら押さえ、半分に切る。
3. 同じものをもう1つ作り、器に盛る。
食欲が落ちがちな夏でも、梅の酸味のおかげで食がすすむ山本家のレシピ。まさに夏バテ予防にピッタリ!