愛媛県今治市で、飛ぶように売れているというみかん大福。みかんを丸ごと1個、大福生地と白餡で包みこんである。こ、これは!

 

同市の老舗和菓子店「清光堂」で、1日800個の大福を作っているのは、ビル・リオングレロ―さん(53)。先祖はグアムの先住民・チャモロ人だ。

 

グアムで救命救急士として働いていたビルさんは日本人女性と恋に落ち、29歳のとき結婚。2人は生涯グアムで暮らすつもりだったが、和菓子職人だった妻の父親が病気で倒れたため「後を継ぎます」と手を挙げ、40歳で和菓子職人として修業を始めた。

 

職人かたぎの義父は厳しく、教えてくれるのは一度きり。二度目からは口を閉ざす。砂糖や大豆の重さの単位は匁(もんめ)。グアムではオンスなので、匁をグラムに直し、さらにオンスに置き直す必要もあった。

 

「満足のいく大福ができず、作っては捨ての連続でした。義父の味を守らなければと必死でしたが、私には日本人の好む微妙な色合、大きさ、繊細な味を作り出すことはとても困難でした。形が違う、甘すぎる、ちょっと大きいなど、親切に教えてくれたのは、昔からのお客さんでした」

 

一方で、地元の名産・愛媛みかんに目をつけ、みかん大福を考案。日本人には思いも寄らないが、ビルさんに先入観はなかった。「いちごもみかんも同じフルーツでしょ」。改良に改良を重ね6年前、みかん大福が完成。たちまち大評判になり、店の主力商品になったそうだ。みかん大福、アリでしょう!

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