ここ数年アニサキス騒動で一躍クローズアップされてきた「食中毒」だが、湿度と気温が上がるこれからの季節は特に注意が必要。そこで、日本獣医生命科学大学客員教授で、食品衛生コンサルタントとしても活動する池亀公和さんに、食中毒を撃退するための「新常識」を教えてもらった。
■BBQでは豚肉ではなく、鶏肉に要注意!
牛、豚、鶏肉のなかでもっとも気をつけるべきは、カンピロバクターの汚染率が高い鶏肉。厚みがあり中心部まで火が通りにくいので、焼けたかどうかの確認は念入りに。
「豚肉は細菌が多いから気をつけろと言われますが、それは昔の話。今の食肉生産工程はしっかり衛生管理されているので心配ありません」(池亀さん・以下同)
■海の家のトイレには、夏でもノロウイルスが潜んでいる
ノロウイルスの感染ルートは、主に糞便。海の家のトイレなど、不特定多数の人が使う公衆トイレは、それだけ感染リスクが高くなる。
「ノロウイルスは、モノに付着後も1週間は生存するといわれるほど生命力が強い。トイレのドアなどに付着した菌を触り、その手で食事をして感染するといったケースが考えられます」
■キャンプで作り置きするなら、ビーフカレーはNG
肉を使った煮込み料理には、加熱しても死なない菌が潜んでいる可能性あり。
「『ウェルシュ菌』といって、硬い殻を形成して熱から自身を守る菌がいます。夜は涼しいからと一晩そのまま放置すると、その間に増殖。翌朝加熱しても菌は死なないので、食中毒を起こす危険があります。肉を好む菌なので、ビーフカレーなどは要注意」
キャンプに海水浴にBBQ……。屋外での楽しいイベントがめじろ押しのこれからの季節は、じつは食中毒に対する誤解が招く“落とし穴”もあちこちに。夏の思い出が台無しにならないよう気をつけて!