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「先日、’17年の日本人の平均寿命が発表されました。女性は前年より0.13歳延びて87.26歳となり、これ自体は喜ばしい数字ですが、健康寿命は74.79歳(’16年)。ここに約12年の差があります。寝たきりになるなど、いわば何かしらの苦痛を抱えたまま生活している期間です。その要因の1つとして挙げられるのが『骨粗しょう症』。これは、50歳前後の閉経時に“気付かないまま”始まっているケースが多いのです」

 

そう警鐘を鳴らすのは「ゆりクリニック」(東京都港区)の矢吹有里先生(48)だ。

 

「骨粗しょう症の患者の約80%が女性です。若いころの過度のダイエットなど生活スタイルの影響もあると思いますが、私の病院に相談に来られる方も増えていて、今日も58歳の方を診察したところ、骨年齢は80歳という結果でした」(矢吹先生・以下同)

 

骨は古い細胞を壊す「骨吸収」と新たに骨を作る「骨形成」をバランスよく繰り返すことによって、骨密度を維持している。しかし……。

 

「閉経を機に、骨吸収を抑制している女性ホルモンのエストロゲンが低下すると、10年ほどの期間で急激に骨密度が下がります。骨密度は20歳ごろにピークを迎えて、その後ゆっくりと下がっていくのですが、80%以上が正常で、それが70%未満になると、骨粗しょう症と診断されます」

 

矢吹先生は、50歳になったら、すべての女性が骨の状態を調べてほしいと提案する。

 

「市区町村で行われる超音波検査はあくまで骨粗しょう症の“疑い”を見つけるものですから、専門の医療機関でできるDEXA法(骨密度測定検査)などの精密検査をお勧めします。患者さんにとって、骨粗しょう症は“痛くもかゆくもない”ものですから、2〜3センチ身長が低くなってはじめて気づいた、というケースも少なくありません」

 

徐々に背骨がつぶれて猫背になってしまったり、背骨が1つずつ圧迫骨折を繰り返す“骨折の連鎖”もありうる。

 

「転倒して手をついて手首や腕の付け根を骨折する方、布団につまずいて尻餅をついただけで大腿骨の付け根を骨折する方もいらっしゃいます」

 

大腿骨の付け根の骨折となると、ほぼ手術が必要。1年以内に反対側の付け根部分を骨折する確率も高いという。

 

厚生労働省の国民生活基礎調査(’16年)では、要介護4の約12%、要介護5の約10%が、骨折・転倒が要因だと報告されている。

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