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「私ども神奈川県は『ペットのいのちも輝く神奈川』というコンセプトを掲げております。今回の『神奈川犬民カード』もその一環、黒岩祐治知事肝いりの企画です」

 

神奈川県健康医療局生活衛生部の動物愛護担当課長・松谷順子さんはこう胸を張る。

 

先月、神奈川県は動物愛護を進めるため、国内最大級のペット専門メディア「PECO」と協定を結び、同社運営のサイト内に県の特設ページを設置。同サイトに無料登録した神奈川県在住者は「神奈川犬民カード」と銘打った愛犬のための登録証を発行できる。カードには、愛犬の写真や名前のほか、特技、座右の銘などを盛り込み、遊び心もたっぷり。

 

なんとも素敵なニュースに、『ねこ自身』取材班はさっそく神奈川県庁を訪問。

 

担当の松谷課長も「これまで他県で同様の犬民カードを発行したという事例は聞いたことがない」というぐらい珍しい、先進的な取り組みを始めた神奈川県。なんでも県の動物保護センターに保護された犬、それに猫も、殺処分ゼロが続いているんだそう。

 

そして、県が迷子ペットの返還のため推進しているのが、マイクロチップの装着だ。

 

「今年から、識別番号を登録したマイクロチップを愛犬に装着する費用の一部を補助する事業を始めました。しかし、装着率は県内の犬の登録頭数の3割弱にとどまっています。そこで今回、新たに開設したサイトで同事業の普及啓発を図り、犬民カードに興味を持った飼い主さんにマイクロチップ装着を促したいと考えています」

 

命を大切に考える神奈川県らしい、素晴らしい取り組みだが……松谷課長、なにかとっても大事なことを、お忘れではありませんか?

 

「え、猫!? もちろん、将来的には猫のカードも作れたらいいな、と考えております。ただ、法律の観点からもまずは犬から、だったんです。法律上、迷子犬や野良犬は積極的に自治体が保護、捕獲しないといけませんが、猫に関してはその義務がないんです。なので、まずは犬民カードで愛犬へのマイクロチップ装着を促し、万一、迷子になった際の返還をスムーズにしていこうということでして。決して、猫をないがしろにしているというわけではありません」

 

その言葉を聞いてホッとひと安心。なんでも保護センターに保護されている猫の多くは、飼い主さんが高齢で面倒を見きれなくなったとか、たくさんの子猫が生まれて飼いきれないとか、飼い主さんサイドの都合で入ってくるんだそう。なので、飼い主がわからない迷子猫というのが、そもそも少ないという。

 

「とはいえ、台風や地震など大きな災害が発生した際や、雷に驚いて愛猫が逃げ出してしまって戻らない、というケースもありえます。ですから、まだ費用を補助する制度こそありませんが、猫にもマイクロチップを装着することを勧めていきたいと考えています」

 

松谷課長いわく、「犬民カード」が発案された会議の席上でも猫のことは話題に上ったんだそう。

 

「犬民カードは若手職員の発案で、ネーミングもすんなり決まったんですが。『猫の場合は、そのカードの名称はどうしよう?』という意見も出ました。ですので、現時点でいつとはお約束できませんが、いずれは神奈川県で暮らしている愛猫のためのカードも、作りたいと思っています」

 

※神奈川県動物保護センターでは横浜市、川崎市、横須賀市を除く県内地域の犬や猫などの保護を行っています。

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