「アメリカでは、各家庭のマネープランについて、お金のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)に相談することが一般的と聞きます。目先の費用はかかりますが、トータルで見ると得をするためでしょう」
そう語るのは、行政書士やFPなど、587もの資格を持つ“資格マスター”の鈴木秀明さん。確かに、人生には家を買う、遺言を残すなど、プロのテクニックや情報力に頼るべきポイントがある。そんなとき、誰に相談して、費用がいくらかかるのか――。
こうした疑問に、「レイ法律事務所」松下真由美さん、「東京法務司法書士事務所」岡部美里さん、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんら“その道のプロ”が答えを教えてくれた。
■家計の見直し
保険の見直し、節約ポイントの洗い出し、住宅ローンの返済計画など、お金に関する相談事は、FPの専門分野だ。FPは大きく分けて2種類。フリーランスの立場で活動する独立系と、保険会社の代理店や不動産業などに所属している企業系だ。
「独立系であれば中立性があり、幅広い商品や物件の相談ができます。企業系は、自社が扱う商品を勧めることになりますが、商品知識に関しては非常に深いというメリットがあります」(風呂内さん)
全般的なお金の悩み相談から、具体的数値で示した資金計画作成まで、依頼によって費用も異なる。
「1時間の相談で5,000~5万円が目安。企業系の場合は、自社商品を販売して収入を得るので、無料相談をされている方も多いです。まずは、東京や大阪など大都市圏で行われている、日本FP協会の無料体験相談を利用してみてはいかがでしょうか」
■男女問題や離婚手続き
夫の不倫に逆上して、探偵に浮気調査を依頼。何の準備もしていなかったので、張り込みも長時間にわたり、証拠集めに170万円もかかってしまった――。
こんな実例もあるというが、まずは裁判で有利な証拠や必要な情報を集めるため、専門家のアドバイスは必要だ。とくに当事者間に感情的なもつれがあり、慰謝料の支払いで激しくもめているケースは、弁護士の領域。どこまで依頼者の感情に寄り添ってもらえるかが、ポイントだ。
「男女問題や離婚に関しては、初回相談を無料で行っている弁護士も多くいます。離婚手続きの費用は、着手金が20~30万円、解決時にも同等の成功報酬を支払うケースが多いのです。慰謝料や財産分与を有利にできたら、その分の10%を成功報酬としてプラスしたり、依頼者が経済的に困難な場合は、着手金を低くして成功報酬の割合を多めにするなど、費用は弁護士によって違いがあります」(松下さん)
■いじめによる子どもの不登校
いじめで子どもが不登校になった、“学校への影響力を持つ”ママ友とのトラブルが発端で、学校から不当な出席停止処分を受けた。
こんなときは、学校問題を専門とする弁護士に依頼すると、解決の糸口が見えてくる(相談料は30分5,000円ほど。費用は案件による)。
「学校側に本格的な調査依頼をしたり、不当な処分を取り消したりできることがあります。出席が足りず進級できないといった問題も交渉します」(松下さん)
■ご近所トラブル
「近所の飼い犬にかまれた」「隣の木が生い茂って、うちの庭まで枝葉が入ってくる」といったご近所への不満を抱えていても、わざわざ弁護士に依頼するほどではないと、我慢している人も多いはず。
弁護士も、140万円以内の少額の民事訴訟となる案件をあまり受けたがらないことがある。そこで、頼りにできるのは、法務大臣の認定を受けた司法書士だ。
「着手金数万円に成功報酬20%、着手金ゼロ円で成功報酬30%など、費用設定は依頼先ごとに異なります。ご近所トラブルに限らず、救急で緊急入院した結果、病室も選べず請求された高額の差額ベッド代を取り戻したケースまで。いずれも法廷闘争まで発展せず、早期解決が期待できます」(岡部さん)
弁護士は「法テラス」「日弁連」、司法書士は「日本司法書士会連合会」、FPは「日本FP協会」の公式HPなどから全国支部や相談窓口を探すことができる。誰もが遭遇する、人生の岐路。プロの知恵で乗り越えよう。