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「臨床現場で感じるのは、老眼は44歳6カ月を境に訴える人が急増することです」

 

そう語るのは、日本コンタクトレンズ学会理事で、梶田眼科院長の梶田雅義先生。老眼は加齢によって、ほぼ100%、誰にでも起こる。

 

眼球は、水晶体が近くのものを見るときは厚くなり、遠くを見るときは薄くなることで、ピントを調整している。加齢とともに水晶体が硬くなると、ピント調整機能が狂ってしまう。リラックスしている状態だと、水晶体が薄く、遠くにピントが合った状態になっているので、老眼は近くのものが見えにくくなるという症状で現れる。

 

「眼球の水晶体の部分は、レンズの役割をして、ピントを調節しています。ところが年を重ねると、水晶体の柔軟性が失われ、硬くなってしまう。それでピントが調整しにくくなるのです」(梶田先生・以下同)

 

まずは次のチェックシートで目の健康状態を確かめよう。

 

□年齢が44歳6カ月を超えた
□明るいうちは見えた風景が、薄暗くなると見えづらい
□スマホの画面を見たり、読書をすると、目が疲れたり肩こりが起こる
□細かい文字など、30~40センチ離さないと読みづらい
□近視用の眼鏡を使っているが、外さないと近くのものが見えなくなった

 

老眼の初期段階に多いのは、夕方など、薄暗くなると、日中にキレイに見えていたはずの風景が見づらくなることだ。

 

「明るいうちは瞳孔が閉じていてピントを絞りやすいのですが、薄暗くなると瞳孔が開き、絞りづらい状況になるのです。さらに、症状が進むと、スマホや本など、手元のものが見えにくくなります。親指を立てて、目の前から少しずつ遠ざけていきましょう。目から30~40センチ以上離れないと、指のシワがはっきり見えない人は、老眼が疑われます」

 

“老眼”という言葉に抵抗を持ち、対応を遅らせてしまう人も多い。

 

「しかし、老眼の状態で、無理して手元の作業を続けると、水晶体を動かす毛様体筋に負担がかかります。それが頭痛や肩こりの原因となります。また、毛様体筋は自律神経とリンクしているので、負担が大きくなると、新聞やスマホを少し見ただけで具合が悪くなってしまうことも」

 

特に40代、50代女性は、更年期障害と診断されたり、心療内科や精神科で安定剤などを処方されてしまうこともあるという。

 

「老眼は訓練などによって、よくなることはありません。老眼に気付いたら、迷わず眼鏡を作ることをおすすめします」

 

その際の選択肢として、老眼鏡と遠近両用眼鏡がある。老眼鏡は近くのものをくっきり見えるようにするが、遠くを見るときは眼鏡を外す必要がある。遠近両用眼鏡はレンズ面の位置によって度数が変化する構造なので、遠くを見るときにも、いちいち眼鏡を外さなくてもいいが、人によっては慣れるまでに時間がかかることも。

 

「いずれにせよ、専門の眼科医の診察を受けてから選びましょう。視力には左右差があるし、乱視の有無もあるため、しっかりとした検査が必要なのです」

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