「大掃除は年末にするものと思い込んでいませんか? でも実は、年度末に当たる春先のほうが大掃除のメリットは断然大きいんです。たまった不用品の処分、汚れの落としやすさなどを考えると、大掃除にもっとも適した季節は春といえます」
こう話すのは、All About家事・掃除・子育てガイドの藤原千秋さん。年末は時間が足りず十分な大掃除ができなかったり、インフルエンザで寝込んで掃除どころではなかった、なんて人も多いはず。そんな人にとって、春は気になっていた汚れを一掃するチャンスといえそうだ。
「さらに今年は平成最後という節目の年。家の中を総ざらいして、気持ちを新たにする絶好の機会となるでしょう」
藤原さんが、春の大掃除を勧める具体的な理由は3つ。1つ目は、冒頭でも触れた不用品の処分のしやすさだ。
「年度の変わり目には、新たな不用品が生まれます。たとえば、年度ごとに配られる地域の広報冊子や電話帳、古い確定申告の書類など。学齢のお子さんがいる家庭では、進級・進学に伴い不要になった参考書やノート、制服や体操着などを処分できると、収納スペースにだいぶ余裕が出るはず。お子さんが独立して家を出る場合は、引っ越し前にお子さん自身に不用品の仕分けをしてもらうといいでしょう。もしかして使うことがあるかもととっておいても、意外とその機会は巡ってきません。年度末のタイミングで思い切って処分を」
2つ目の理由は、大掃除を効率的にできる季節であること。
「気温が上がるほど汚れ分子の結合がゆるむので、冬よりも春のほうが汚れを落としやすくなります。日差しがだんだんと強まるので、明るい光の中で汚れが見えやすくなるメリットもありますね。そもそも、欧米では『スプリングクリーニング』といって、春に大掃除をするのが一般的。日本で年末に大掃除をするのは、年神様を迎える神事との関わりが強いためで、汚れの落としやすさからいえば、欧米と同じく春にするのが理にかなっています」
さらに、春になると年末と比べ水温が約5度上がるといわれる。水が冷たいからと敬遠していたキッチンや浴室などの水回りの掃除も、春先が向いている。
「冬の間は寒さや積雪で難しかった家の外の大掃除も、この時期になると取り組みやすくなります。これまで置きっぱなしで風景の一部と化していたものなどもこの機会に片づけて」
3つ目の理由のキーワードは「平成」。時代の節目だからこそ、この30年間にたまった思い出の品を整理して、スッキリと新しい時代を迎えたい。
「テレビや新聞では平成の振り返り特集が増え、ミレニアムグッズなどイベントにかこつけて買ったもの、流行に乗って買ったものを思い出すことも増えるでしょう。こうしたものを押入れの奥や天袋のような目につかないところにしまいこんではいませんか?」
この際、クローゼットや押入れの大掃除ついでに中身も引っ張り出し、使う予定がないものには思い切って別れを告げよう。ただし、掃除が中断してしまわないよう、思い出に浸るのはほどほどに。
「モノは劣化するもの。とくに樹脂が使われている場合、年月がたつと化学反応により変色などの劣化を起こします。そうしたものをまとめて処分するにも、いい機会かもしれません」
今年の春は、まるっと“平成”を大掃除して、気持ちを新たに新時代を迎えよう。