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「あのさ、オレだけど……」と、息子を装う電話で金銭をだまし取る詐欺が、警察庁に「オレオレ詐欺」と命名され早15年。現在、その手口はますます巧妙になり、還付金がもらえると偽り金銭をだまし取る還付金詐欺や、スマホのデータ通信料の架空請求など、「特殊詐欺」と呼ばれる犯罪は増加の一途をたどっている。

 

また、事前に家族構成や資産状況を聞き出して詐欺をはたらく「アポ電詐欺」では、凶悪なケースが目立ち、2月には、東京都江東区で80歳の女性がアポ電を受けた後に強盗に押し入られ、殺害されるという事件も発生した。

 

警察庁の最新の統計によると、特殊詐欺による昨年の被害総額は約356億円。1日あたり、1億円近い被害が出ていることになる。

 

詐欺や消費者問題に詳しい藤本大和弁護士は、被害者像をこう説明する。

 

「とくに狙われやすいのは家庭にいる中高年女性。日中、詐欺師による電話や訪問を受け、詐欺に遭ってしまう。自分が財布のひもを握っているため夫にも相談できず、弁護士に助けを求め駆け込んでくる女性が後を絶ちません」

 

昼間に一人で家にいるからこそ狙われる。そんな詐欺の具体的な手口を紹介。知識こそがあなたを守る一歩となる。

 

【点検商法】狙われているのは“水回り”と“家の強度”

 

家の外壁や床下のシロアリの点検をするからなどといった口実で訪問してくるのが典型的なやり口。「屋根の瓦が傾いています。地震が来たら崩れますよ」などと不安をあおり、高額な工事の契約を迫る。

 

「すぐに直さないと危ないと思われがちな、水回りや家の強度に関する箇所を狙います。とくに地震や災害の後はこの手の詐欺が増えるので注意」(藤本弁護士・以下同)

 

【還付金詐欺】“お役所仕事”に電話手続きはありえない

 

医療費の過払い金があるなどと電話で嘘を言い、ATMで還付金受け取りの手続きを指示するが、実際は詐欺グループの口座にお金を振り込ませる手口。

 

「そもそも公的な機関での手続きは、役所に出向いて必要な書類をそろえ、ハンコを押してと手のかかるもの。電話とATMだけで簡単に還付金を受け取れることはありません」

 

【元号詐欺】銀行員は小口の取引でわざわざ家まで来ない

 

「改元に伴い、キャッシュカードの交換が必要。今から担当の者を向かわせます」と銀行協会を名乗る人間から電話があり、実際に家にやってくる。言われるがまま通帳とカード、暗証番号まで渡したら最後、口座の預金は詐欺師のものに。

 

「銀行は小口の取引で個人宅を訪問することはありません。冷静になって怪しいと判断を」

 

【ワンクリック詐欺】怪しいメッセージは対応せずに放置すべし

 

パソコンやスマホの操作中、なにげなくウェブ広告をクリックしたら、突然、料金の請求画面が現れた。

 

「これはワンクリック詐欺の手口の1つ。クリックしただけで支払い義務が発生することはありません。請求画面が現れても応じず放置すれば大丈夫です。問合わせ先の電話番号が表示されても、絶対に連絡しないでください」

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