「体ポカポカ効果=冬」のイメージが強いしょうがだが、生で食べれば夏にもいいことがいっぱい! 発酵によって生まれるさわやかな味わいも、この季節にぴったり。さっそくすりおろして、常備生活を始めよう――。
今年2月、本誌で“体あたため調味料”として紹介し、好評を博した「発酵しょうが」。しょうがをすりおろして冷蔵庫に2週間おくだけで、風味やうまみが増し、保存がきくように。また、冷え性改善などの健康効果も見込める。
なぜ今回、わざわざ蒸し暑い季節に再び紹介するのか――しょうがに詳しい平柳要先生によると、しょうがは加熱せず生で食べることで、体にこもりがちな熱を下げる効果があるというのだ。
「体を温める『ショウガオール』は加熱によって生まれる成分であり、加熱前は『ジンゲロール』と呼ばれ、強い発汗作用が特徴です。昨今、エアコンの普及やストレスが原因で、暑くても上手に汗をかけない女性が増えていますが、じつはこれが熱中症や暑さ疲れ、免疫力の低下、肌の乾燥など、夏の不調の要因なのです。生のしょうがをとってしっかり汗をかき、体内の熱を下げるのはとてもいいこと。そのうえ、しょうがは暑さで弱った胃腸を整えたり、抗菌・殺菌作用で感染症の予防も期待できるので、夏こそしょうがを積極的に食べることをおすすめします」
さらに、加熱しないことで“発酵”のパワーが存分に発揮される。
「栄養価が高く、消化吸収に優れるのが発酵食品ですが、加熱すると菌が働かなくなるので、その意味でも生食は有利。最近の研究では、『発酵しょうが』が認知症の予防や改善にも効果があるのでは? との報告もあるんですよ」
【発酵しょうがの材料と作り方】
ガラス保存ビン(スクリュータイプ/容量150~200ml)は煮沸消毒し、乾かしておく。しょうが1袋(150~200g)はよく洗って水けを拭き、おろし金で皮ごとすりおろしてビンに入れる。ギュッとフタをして冷蔵室で2週間、出し入れせず、なるべく動かさずにおく。色が少し濃くなり、ポソポソッとした状態になったら完成。冷蔵室で1年ほど保存可能。
発酵しょうがを考案した増島智子さんも、夏はタレやドレッシング、ドリンクなど、加熱せず料理に生かしているそう。
「発酵させたしょうがの風味は、柑橘のようにさわやかで夏にぴったり。合わせる食材のえぐみもとってくれるので、サラダやそうめん、冷製スープなどに活用して、毎日おいしく食べています」
体調を整えるための摂取量はどのくらいなのだろう。平柳先生が教えてくれた。
「まずは毎日食べるのがポイントです。ただし、しょうがは刺激物なので、一度にたくさんはNG。一回5~10グラムを目安にしましょう。発汗作用を期待するなら、一日のうちでいちばん暑い昼に食べるのが基本ですが、じつは夜に摂取すると、脂肪燃焼効果が期待できるんですよ」
生しょうがに含まれる「ジンゲロール」でスッキリ快適に夏を乗り切ろう!