まぶたの垂れ下がりや目の下のクマ、視力の低下、さらには緑内障など、目にまつわる不調や病気に悩む人は多い。そして、それは年齢を重ねるごとに実感を深めるので、目の使いすぎや老化による衰えだと思われがちだが、目の状態は、血流と深い関係があるという。
「血液には体じゅうに栄養や酸素を運ぶ大切な役割があります。その流れが滞れば、生活習慣病のリスクが高まることは知られていますが、当然、目にも影響があるわけです。ましてや目には毛細血管が多く、目の中を流れる血液の量は、脳の23倍もあるといわれるほど。視力低下。老眼、ドライアイ、緑内障、白内障、黄斑変性症、網膜症……挙げたらきりがありませんが、さまざまな目の障害が起こる可能性があります」
そう語るのは、日本眼科学会認定専門医である回生眼科院長・山口康三先生。ちなみに、40歳以上の約20人に1人が発症し、失明の危険もある緑内障は、眼圧が高まって視神経が圧迫され、血流が悪くなることで目の働きが失われていく病気。
「最近では正常眼圧での緑内障発症も増加していることから、単純な血流の悪化も原因に考えられています。血流が悪くなるのは老化も一因ですが、生活習慣によるところも大きい。現代社会では目も酷使するし、ストレスフルで、血流が滞る原因は山ほどありますから、若い人も安心はできませんよ」(山口先生)
そこで、山口先生が目の血流をよくする生活習慣を教えてくれた。
【凝視し続けない】
何かを凝視し続けると目の筋肉が凝り、血流が悪くなる。ときどき焦点を合わさず、ぼんやりと遠くを見よう。また、スマホのブルーライトはリスク大。意識して見ない時間をつくること。
【目を温める】
目の冷えは血流が悪化した状態。熱すぎない(40度前後の)蒸しタオルなどをのせて温めよう。涙の分泌腺に詰まった脂肪も溶けるので、目を保護する涙の質が上がり、乾燥やドライアイのケアにもつながる。
【水分をたっぷりとる】
血液がドロドロになるのを防ぐため、1日1.5〜2リットルを目標に水分をとろう。ただし、一度に大量に摂取すると眼圧が上がるので、(できるだけ食中は避けつつ)ちびちび飲むのがコツ。
【紫外線から目を守る】
目に紫外線が入ると活性酸素が大量発生し、血流が滞る。さらに水晶体や角膜などがダメージを受け、白内障や黄斑変性症などのリスクを高める。日傘やサングラスを習慣づけて。
「前出のとおり、目の病気や不調は血流の悪化が大きく関わっているので、緑内障や白内障、老眼など、加齢とともに起きる問題はいわば、目の生活習慣病。目の血流をよくする習慣を身につければ、予防することができます。今、具体的な症状がなくても、加齢や日々の生活によって確実にダメージは受けているので、ぜひ実践してみてください。また、良質な睡眠、バランスのいい食事、適度な運動を心がけ、ストレスを軽減させることも大切です」(山口先生)