「日本人の平熱は60年前より1度ほど下がりました。これが、アレルギー疾患や生活習慣病が増えた原因のひとつだと考えられます」
そう話すのは、体温と健康の関係に詳しい石原新菜先生。なぜ平熱が下がったのか、そして、そもそも平熱とは何度なのだろう。
「私たちの体がいちばんよく働く体温を平熱といい、36.55~37.23度が理想的。これはわきの下で測った場合で、口内だと0.5度ほど高く測定されます。測るタイミングは、朝10時がいいでしょう。平熱が下がった要因は、おもに食や生活習慣の変化とストレスです。平熱が低いと血流が悪化して免疫力が下がり、さまざまな不調が起こります。特に女性は低体温の人が多く、35度台の人も。まずは、36.5度をめざしましょう」
ちょっとした習慣を見直せば、確実に平熱は上昇するという。
【下半身の運動】
「効率よく体温を上げるのが、筋肉を動かすこと。特に、筋肉の約75%を占める下半身をきたえるのが有効です。まずは1日1回、お尻をつき出す『スクワット』や『かかと上げ運動』を30回(約1分)。これで自家発電ボディに!」(石原先生・以下同)
【入浴で汗をかく】
「四季を問わず、シャワーだけですませず、毎日湯船につかりましょう。温度も時間も好みでOKですが、ポイントは顔に汗がぶつぶつとにじむこと。入浴前後の運動や、毛細血管を開かせる炭酸系の入浴剤も効果的です」
【おなかを温める】
「外から温める場合は、血流が集まるおなかを温めるのがいちばん。免疫の約70%をつかさどる腸が温まって免疫力が上がり、子宮や卵巣も温まるので女性特有の不調の予防にもなります。その次に、足首や足裏、首、手首も有効です」
石原先生による平熱を上げる「温活指導」で、すっかり不調が改善された、という患者さん2人に、その体験談をうかがった。
■朝晩2回の足浴で10年間、悩み続けた不眠がなくなりました!(T・Kさん、62歳)
とにかく足が冷えて冷えて……。布団に入ってもなかなか眠りにつけず、夜中2時になると必ず目が覚めてまた眠れず、明け方5時ごろにやっと寝つける、という生活が10年も続いていました。
寝不足のせいで、すぐ疲れてしまって家事も何もやる気がせず、家族ともギクシャクし、そんな自分を責めるうちにだんだんと気分もふさいでひきこもりがちに。悩んだ末、受診することにしました。
それからは毎日、朝晩2回の足浴を習慣にし、腹巻きと湯たんぽを使い、しょうがをとるようになると、足はもちろん、体全体がポカポカして、なんと1カ月ほどで、不眠から解放されたのです。
がぜんやる気が出て、心なしか体もほっそり。冷えはほかの不調にも関係すると聞いたので、生活習慣病が気になる年ごろですし、その前に改善できてよかったです。
■20代から抱えてきた持病の数々……1カ月で生理痛、3カ月で頭痛が消えたのです!(S・Yさん、40歳)
23歳のころに自律神経失調症とパニック障害を発症し、以来、めまいや耳鳴り、肩こり、頭痛、生理不順、頻尿、便秘や下痢をくり返すなど、もう不調のデパートかというくらい、体調には日々、悩まされてきました。それがまさか、低体温が原因だったなんて! しかもそのとき体温を測ったら、36.2度あったので、それでも平熱より低いなんて、と驚きました。ところが、先生の指導で漢方を服用し、にんじんやしょうがなどの体を温める食材を積極的に食べ、軽いストレッチ、入浴、腹巻きの習慣を身つけたら、まず、1カ月後にはあんなにつらかった生理痛が消え、3カ月後にはめまいや頭痛が激減して。ほかの不調も気にならなくなっていき、大げさでなく、人生がバラ色に!(笑)体温恐るべし、を痛感しています。
さっそく今日から「温活」を実践し、気になる不調を解消しよう。
「女性自身」2020年2月25日号 掲載