外出機会の減少による運動不足や、ストレスによる過食……。長引く外出自粛がもたらした「コロナ太り」の影響は多岐にわたるが、とりわけ中高年女性を直撃している影響が“ひざの痛み”だ。
「『歩くとひざの内側が痛い』『朝起きて一歩を踏み出すときに痛みが走る』と訴える患者さんが増えていますが、これは体重の増加で、ひざ関節にかかる負担が増したことが原因です」
そう語るのは、戸田整形外科リウマチ科クリニックの戸田佳孝院長。手術をせずに、ひざ痛や股関節の痛みを治す保存的療法を研究し続けている戸田院長だが、「コロナ太り」による外出自粛で悪化したひざの痛みは、これからの季節こそ注意が必要だと指摘する。
「雨の日が多くなり、室内で過ごす時間がさらに増えると、一度落ち着いたひざの痛みがぶり返すことも考えられますので、早めの対策が必要です」
日本人の4人に1人が、ひざ痛の原因となる「変形性ひざ関節症」と推定され、その約8割が女性だといわれている。その改善のために、戸田院長は「アボカドを1日に半分食べる」ことを提案する。
「アボカドに多く含まれる『アボカド大豆不けん化物』(ステロール)という成分内には、さらにTGF-βという成分があり、軟骨の土台となる線維を作っています。たとえば、傷ができてもカサブタができて治りますよね。TGF-βは、血小板由来の成長因子で、傷を治して皮膚の再生やコラーゲンの生成をうながし、すり減った軟骨を修復してくれます」
実際、TGF-βは再生医療の現場で使われているPRP注射の主成分のひとつにもなっている。
「フランスの有名な整形外科医、リキーネ先生の論文にも、変形性股関節症の患者がアボカドを2年間食べ続けたら、軟骨のすり減りが遅くなったという研究結果が報告されていましたので、私のクリニックでも患者さんにすすめるようになりました」
戸田院長のクリニックに通っている「変形性ひざ関節症」の患者と、「ひざ以外の痛み」を訴える患者が、それぞれどれくらいの頻度でアボカドを食べているかを比較したところ、「変形性ひざ関節症」の患者は、「ひざ以外の痛み」を訴えるひとよりもアボカドを食べる頻度が明らかに低かった。
「スーパーにはアボカドがほぼ一年中、安い価格で売られていますが、中高年の人には、まだあまりなじみがないかもしれません。これを機に、ぜひ一度食べてみてほしいですね」
そこで、アボカドになじみのない人のために「アボカドQ&A」と「簡単和風レシピ」を紹介。
■アボカドQ&A
【Q1】食べるのに適した時間帯は?
A:ひざに効くアボカドの成分は、空腹時ほど吸収がよくなるので、朝ごはんのおかずや、食間のおやつなどがベスト。
【Q2】ひざ痛改善以外にどんな効果がある?
A:アボカドは食物繊維が豊富で、体のなかの老廃物を排出する手助けをしてくれる。便秘が解消されれば美肌も期待できる!
【Q3】1日にどのくらい食べると効果的?
A:アボカドには脂質が多く含まれ高カロリーなので、食べすぎると太ってしまう。1日半分程度を目安に毎日食べるよう心がけよう。
【Q4】火を通しても大丈夫?
A:加熱してもアボカドに含まれている成分は失われない。基本は生食にしつつ、ときどき調理をして食べるのが飽きないコツ。
■アボカドとマグロの納豆あえ
〈材料〉2人分
アボカド…1個
刺身用マグロ…100g
納豆…1パック
わさび…少々
しょうゆ…小さじ2
〈作り方〉
【1】アボカドは種と皮を取り除き、3cm角に切る。マグロもアボカドの大きさに合わせて切る。
【2】ボウルに納豆、わさび、しょうゆを入れて粘りが出るまでよく混ぜる。
【3】2に1を入れて混ぜ合わせる。
■アボカドと玉ねぎの味噌汁
〈材料〉2人分
アボカド…1個
絹豆腐…半丁程度
玉ねぎ…4分の1個
味噌…大さじ2
〈作り方〉
【1】アボカドは種と皮を取り除き、乱切りに。豆腐は軽く水を切り、適当な大きさに切る。
【2】鍋にだし汁と玉ねぎを入れて中火にかけ、玉ねぎが透き通ってきたら弱火にして味噌を入れる。
【3】豆腐、アボカドを入れてひと煮立ちしたら火を止める。
「意外とカロリーの高い食材なので、1日半分を目安に、なるべく毎日食べ続けていただきたいと思います」(戸田院長)
「女性自身」2020年7月21日号 掲載