今年も近づいてきた確定申告のシーズン。今回は改正に加えて新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり異例ずくめ。税理士で、ファイナンシャルプランナーの備順子さんは次のように注意を促す。
「年末調整があるため会社員は通常は申告の必要がないのですが、寄付をした人、手術や入院で医療費がかかった人、住宅ローンを組んで家を購入した人などは、確定申告をすると払いすぎた税金が戻ってくることがあります。’20年はコロナの影響で、給付金や手当を受け取ったケースも多く、どう申告したらいいのか? といった相談をよく受けます。申告しなくてもいい給付金、申告をしなければならない給付金があるので、確認する必要があります」
通常の確定申告の提出期間は2月16日から3月15日まで。会社員などが還付のための申告をする場合は、1月1日以降5年間は申告が受け付けられる。コロナ禍で行われる確定申告のポイントを備さんに教えてもらった。
■副業をした人は税金が戻ってくることも
会社員で確定申告が必要なのは、年収2,000万円超の人のほかに、副業の収入があり、その金額が経費を除いて20万円を超えている人、2カ所以上から給与をもらい、年末調整されなかった給与の合計が20万円を超えている人などだ。
「平日は会社勤めをして、副業で飲食店やコンビニなどでアルバイトをした人、またはウェブサイトの原稿料やデザイン料の収入がある、といった人は、申告すれば源泉徴収された税金が還付される可能性が高いです。副業が20万円以下だったとしても一度計算してみましょう。業種によって所得の種類が異なり、アルバイトやパートで受け取った収入は「給与所得」、本業ではない原稿料、配達、ネットの収入は『雑所得』になります。また、巣ごもり期間中にフリマアプリで不用品を売却した人も多いと思いますが、洋服など生活の不用品を売って得た収入には所得税はかかりません。ただし、家庭用品でも購入と売却を繰り返す場合はほかの雑所得と合わせて20万円を超えると申告が必要となります」(備さん・以下同)
専業主婦が手作りのものをネット通販で販売したり、料理教室を開いたりして得た収入は、必要経費を除いて年48万円を超えていたら申告が必要になる。
■特別定額給付金は非課税、持続化給付金は課税対象に
コロナ禍による収入減のなか、生活や事業を支援するため、さまざまな「給付金」が支給された。
「会社員が受け取る『休業手当』は課税扱いですが、給与手当に含まれているため年末調整で済んでいます。個人事業主やフリーランスの人が受け取った『持続化給付金』『家賃支援給付金』は、事業所得となり確定申告が必要です。いっぽう、1人あたり10万円が支給された『特別定額給付金』と、休業で収入が減少した人が最長12カ月の家賃支援金を受けられる『住居確保給付金』は非課税扱い。名称が似ているため間違えやすいので気をつけましょう」
例年以上に注意点の多い確定申告。損をすることのないよう、申告書の作成に臨むようにしたい。
※記事は1月20日時点の情報に基づいて作成しています。
「女性自身」2021年2月9日号 掲載