「いつまでも安心して暮らせる部屋を探したい」と考えるものの、連帯保証人が見つからない、または家主が「孤独死」を恐れて貸してくれないなど、シニアが賃貸住宅への入居を断られるケースは多い。国の統計でも、都内に住む65歳以上の世帯のうち約3割が賃貸で暮らしていて、“一生賃貸派”は増加の傾向にあるが、乗り越えなければならないのは、審査のハードルだ。
「現役で仕事をしている人や、子どもや親戚など身近な人が連帯保証人になってくれると審査は有利になります。年を取ると身内が自分より先に逝ってしまい、保証人になってくれる人がいなくなるケースも考えられます。もし連帯保証人が見つからない場合、高齢者住宅財団の『家賃債務保証』など、家賃の保証制度を利用するという方法があります」
そう解説するのは、シニアの住まいに詳しい、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。高齢者住宅財団の「家賃債務保証」は、月額家賃の35%の保証料を支払うと、財団と提携している賃貸住宅を借りることができる。
「借りたい物件が見つかったら、『連帯保証人が立てられないので、高齢者住宅財団の家賃債務保証を利用したい』と、不動産会社に相談してみましょう。利用できる場合は、家主か不動産会社から財団に申し込むようになっています。利用者の年齢の上限はないので、高齢であることだけを理由に保証の引き受けを断られることはありません」(畠中さん・以下同)
また、インターネットの検索システムで、シニアでも借りられる物件を探す方法も。65歳以上の賃貸情報サイト「R65不動産」(株式会社R65)では、鉄道の駅別に賃貸物件を探すことができる。
国土交通省でも、高齢者などの入居を拒まない賃貸住宅の登録制度が’17年にスタート。「セーフティネット住宅情報提供システム」には、全国5万2,524件(4月15日現在)の賃貸物件が登録され、画面上で各地域の物件を検索できるようになっている。生活支援サービスを受けられるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を探すのも手だ。一般社団法人高齢者住宅協会の「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」で検索できる。
■賃貸住宅を探すのに役立つサイトなど
【セーフティネット住宅情報提供システム(国土交通省)】
「住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅」に登録された賃貸住宅が都道府県ごとに検索できる。
【R65不動産(株式会社R65)】
65歳以上でも入りやすい民間賃貸住宅を鉄道の駅別に検索できる。
【サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム(一般社団法人高齢者住宅協会)】
全国のサービス付き高齢者住宅を検索できる。
【高齢者向け優良賃貸住宅(UR賃貸住宅)】
市区町村の認定を受けたバリアフリー対応の住宅に入居するときに、家賃の一部が補助される。緊急時対応サービスもある。
「地域にもよりますが、サ高住は月額15万〜20万円かかるため、年金収入が少ない人には負担が重くなります。『高齢者向け優良賃貸住宅』(高優賃)は、サ高住と同じくバリアフリー対応の住宅で、高齢者住まい法が施行されてからサ高住に一本化されましたが、一部の自治体では家賃補助等の制度が継続して行われています。高優賃は民間事業者やUR都市機構などで運営しているので、住みたい地域で物件を探してみるといいでしょう」
「女性自身」2021年5月4日号 掲載