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「毎年5〜6月に歩行中の小学生が交通事故に遭う件数が多いことはあまり知られていません。なかでも最も事故件数の多い学年は、“一人歩きデビュー”をする小学1年生。入学して1カ月ぐらい過ぎると、通学にも慣れてくるので、登下校で緊張感が緩んでくる時期でもあるのです」

 

こう語るのは、危機管理教育研究所代表・国崎信江さん。

 

じつは小学校1〜2年生は、“魔の7歳”といわれ、特に交通事故が多いことで知られている。警察庁が’16〜’20年に起きた小学生の交通事故を分析したところ、歩行中の死者・重傷者はこの5年間で2734人、学年別で最も多かったのは1年生の708人。次いで2年生の666人だった。歩行中の死亡事故だけに絞った統計では、小学1年生が18人。2年生が15人と、2学年で全体の56%を占めている。

 

特に多いのが下校時の事故だ。

 

「登校時はみんな同じ時間帯で集団登校しますが、下校時はバラバラで帰ります。ちょうどその下校時間帯に、“飛び出し”“横断違反”などで交通事故に遭う小学生が多くいるのです」

 

前記の2,734人のうち、およそ半数の1,168人が、下校時間帯の15〜16時台に事故に遭っている。国崎さんは、事故を防ぐためには、保護者が通学路で付き添って見守ったりするだけではダメだと主張する。

 

「まずは、子どもと一緒に自宅と学校間の通学路を歩き、注意すべきポイントを子ども目線で徹底指導することです。たとえば、横断歩道を渡るときは“ここの交差点は、こういうことが危険だから、このように注意しなさい”など、繰り返し教えていくことが重要です」

 

そのうえで、次の3つの約束を伝えてほしいという。

 

【1】信号を待つ場所は車道より3歩内側にいること。

【2】信号が青になってもすぐに歩かないで心で1、2、3と数えてから歩き始めること。

【3】横断歩道であっても右・左・右を確認してから一気に渡ること。

 

さらに次のステップで、子どもを一人で歩かせてみる。

 

「保護者は子どもとは少し距離を置いて、伝えたことをちゃんと守って行動しているかを確認してください。自分で自分の命を守るという習慣を教えるためです」

 

付き添いながら、手取り足取り指示するだけでは、子どもは危険性を理解しなくなるという。

 

読者の中には、孫を持つ人もいるだろう。そういう人は直接教えるか、自分の息子や娘を通して、伝えよう。そして車を運転する人たちは、今の時期、小学生の歩行中の事故が最も多いことを認識しながら運転してもらいたい。

 

社会全体で、子どもの未来を守らねばならない。

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