今年5月ぶんから、電気・ガス料金がともに値上がりしている。おもな電力・ガス供給会社の発表によると、電気料金は1カ月約200円アップ、ガス料金が約130円アップ。年間1,000円以上も値上がりしているのだ。
「電気料金が上昇する要因の一つに、再生可能エネルギー導入のコストの値上げがあります。太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーで作った電気は、電力会社が決められた価格と期間で買い取らなければいけません。これは『固定価格買取制度』(FIT)」と呼ばれていますが、その原価が供給会社にとって大赤字。これを国民に負担してもらおうと、『再エネ賦課金』が月々の料金に上乗せされているのです」
そう語るのは、元経済産業省の官僚で、制度アナリストの宇佐美典也さん。
「再エネ賦課金は、’20年度が2.98円/kWhでしたが、’21年度からは3.36円/kWhになりました。経済産業省が提示する条件(2人世帯)に沿って計算すると、これまで年間の電気料金である約7万2,000円が7万3,000円に。この計算でも、やはり年間で約1,000円ほど値上がりしています」
電力中央研究所が公表する「2030年における再生可能エネルギー導入量と買取総額の推計」によると、再エネ賦課金がこのまま上昇を続ければ、’30年度には約3.5〜4.1/kWhになると予測されている。それをもとに計算すると、今後10年で約3,494円上がる可能性もーー。
いっぽうガス料金は、石炭や石油などの化石燃料から、CO2排出量が少ない“エコ”な液化天然ガス(LNG)への切り替わりによる価格変動の影響を受けている。
「短期的にも、長期的にもガス代は値上がり傾向。右肩上がりは当分続きそうです」