今のうちに数を減らしておきたいが“いつもの掃除”ではダニを駆除できないという(写真:PIXTA) 画像を見る

「花粉症の時季は過ぎたのに、鼻水やくしゃみが出たり、のどが痛いのはダニのせいかもしれません。ダニのフンや死骸もアレルゲンの一つ。人が吸い込むと、ぜんそくやアレルギーを引き起こすのです」

 

そう語るのは感染症予防の知識を持つ医療環境管理士の松本忠男さん。医療現場の清掃に35年従事しており、目に見えない病気の原因となる菌やホコリを正しく除去する掃除方法を指導している。

 

「梅雨明けから夏にかけては、ダニが爆発的に繁殖する時季。梅雨のうちに、ダニを退治しておかないと夏に大繁殖してしまいますよ」

 

ダニは、気温20〜30度、湿度60%以上で増殖する。さらに、同じ条件下ではダニの餌となるカビも増えやすい。

 

「ダニを駆逐するためには、湿度を下げることと、掃除によってダニそれ自体に加え、そのフンや死骸、餌となるカビやホコリを除去することが重要です」

 

しかし、松本さんによると、ふだん私たちが行っている掃除のなかには、ダニやホコリの除去に全く効果がないものもあるという。

 

「たとえば、床を濡れた雑巾で拭くのは意味がありません。ホコリを濡らすと、床に張り付き、取れなくなってしまうのです。また、カーペットを粘着ローラーでコロコロするのも無意味。ダニには、背光性といって明るいところを避け、暗いところに潜り込んでいく習性があります。つまり、カーペットの表面にダニはいないのです。しかし、粘着ローラーで取れるのは表面の汚れだけ。ダニを駆逐するには、掃除機で繊維の根元にいるダニを吸い込む必要があります」

 

さらに、掃除の際の換気にも注意が必要だ。

 

「掃除前と掃除中の換気はしてはいけません。換気によって、ホコリやダニが空気中に舞い上がり、取れなくなります。換気は掃除が終わってから行ってください。また、梅雨の時季は長時間換気をすると、室内の湿度が高くなってしまいます。短時間で効率よく換気するためには、窓を2カ所開け、1カ所の窓際に、外に向けて扇風機やサーキュレーターを置くのが効果的。この方法なら、換気時間を短くできます」

 

今まで正しいと思っていたふだんの掃除法は、医療現場では“ありえない!”とされるものも多いのだ。

 

「せっかく手間暇をかけるのですから、効果的な方法で、健康に直結した掃除を行いましょう」

【関連画像】

関連カテゴリー: