神様・仏様に願掛けしたいことのひとつが病気の平癒。’20年に認知症であることを公表した蛭子能収(73)の妻・悠加さんは、小さいころから祖父母の影響で神社やお寺に行くことが多く、今でもよく参拝しに行くという。そんな悠加さんが、以前から会いたかったという神社仏閣ナビゲーターで心理カウンセラーの尚さんと語り合いましたーー。
尚「初めまして。『認知症になった蛭子さん』を読ませてもらいましたが、ご主人の介護を1人で抱えられていた時期は大変でしたね」
悠加「今日は初めてお会いできるのを楽しみにしていました。尚さんの“霊視”に関する本を読むなどして、ぜひお話を伺いたいと思っていました」
尚「こちらこそお会いできてうれしいです」
悠加「主人に認知症の症状があらわれたのは’17年ごろからですが、芸能ネタになってしまってはいけないと、悩みを誰にも打ち明けられませんでした。その3年間はずごくつらかったですね。いまも『おかしい』と『しっかり』が混在していて、症状がよくなることはありません。でも、最近は主人の調子や表情が穏やかな気がします(と、スマホを取り出し、蛭子さんの近影を見せる)」
尚「明るい笑顔が印象的ですね。悠加さんも穏やかで、壮絶な介護体験をされたとは思えません。介護サービスなど人の手を借りることで心に余裕が生まれたのでしょうか。認知症の人は、介護者の気持ちを映す鏡のようなものです」
悠加「今は明るく楽しく接してあげられているかなと思います」
尚「(蛭子さんの写真を見ながら)日常生活で働くはずの脳の部分に靄がかかっているように見えるのが気がかりです。でも好きなことをやっているときに働く脳の部分には問題がないようですね」
悠加「主人の好きなことといえばギャンブルですね(笑)」
尚「ただ、その一方で、日常生活のことを考えるエネルギーが弱々しい。『日常生活』と『好きなこと』が融合できれば、脳にも好影響が出そうです」
悠加「本当は、主人に絵を描いてほしいなと思っていますが……」
尚「絵を描いても認知症の進行が遅らせられるかというと、必ずしもそうでもないようです」
悠加「たしかに本人は、認知症になってもギャラの出ない絵は描きたくないと話しています(笑)」
尚「小さいときから霊的なものが見えていたそうですが?」
悠加「小学校3、4年生までは布団に入ると、目の前に天使か妖精のようなものが帯状に光って見えたことがありました。あとは旅行先の宿で『これはヤバいな』という雰囲気を察して部屋を変えてもらうこともあります」
尚「ふとした瞬間に、なにか霊的なエネルギーのようなものが見えているはずです。神社仏閣に行かれることも多いそうですね」
悠加「はい。小さいときから祖父母の影響で、神社やお寺に行くことが多く、今でもよくお参りに行っています」
尚「お参りした瞬間は心が軽くなるけど、帰るころにはずっしり気持ちが重くなっていることはありませんか?」
悠加「あ! はい、あります。なんとなく、お参りした後に、自分で、自分ではないと思うような感覚になり……。そんなときはお風呂に御神酒を入れたり、部屋にお塩や榊のスプレーをまいたりしておはらいをしています」
尚「悠加さんは性分として、霊的なものの声を聞いて差し上げている感じがします。声を聞いたうえで『自分ができることはないか』とつねに考えているようですね」
悠加「はい……」
尚「お優しい悠加さんのエネルギーはとても繊細で、そこに頼ってくる霊体も少なくありません。ご縁のある霊だったらいいのですが、神社仏閣を巡ると、そのぶんいろんな霊を連れて帰ってきてしまう。さぞおつらいだろうなと……」
悠加「実は今朝、3、4年ぶりに金縛りにあったんです。この1週間、心が乱れることがあって、つい先日、神社に行って気持ちを整えたばかりでした。でも、それ以降、なんだか怒りっぽくなり……。なにか霊障的なものがあるのか見てもらいたいんです」
尚「実は女性の姿が見えます。女性の霊なのかなと感じます」
悠加「そうなんですね……」
尚「でも、今までどおりのおはらいをしていればいつか離れていくでしょう。ただ、悠加さんは生まれつき自己犠牲の精神が備わっていて、それを頼ってくる霊を背負い込みやすいエネルギーをもっています。霊が離れたとしても、いずれまた助けを求める別の霊を背負い込んでしまいます。その繰り返しでは、体が持ちませんよ」
悠加「はい。でも、どのようにすればいいのでしょうか?」
尚「ある程度、霊を手放すことをしていかないと。『私はなにもできません』という気持ちで突き放すことも大事です」
悠加「金縛りにあったときなどにも『もう私はなにもできない』と言えばいいですか?」
尚「そうですね、そんな気持ちがバリアのような働きをするのです。ご主人の病気もありますからね、今はちょっと無理ですと」