健康のための薬だが、副作用はつきもの。怖いのは「依存」してしまった場合だ。医師や薬剤師の指示に従うことが第一ではあるものの、薬の別の側面も見てみようーー。
「『お薬を飲み続ける=病気が治る』ではありません。逆にずっと病気が治らないからお薬を飲み続けているのです。このことに気づかない限り、長期にわたって薬を飲み続けていると、その弊害として副作用の影響を受けることになります」
こう話すのは、「薬を使わない薬剤師」として活動している宇多川久美子さんだ。
糖尿病、高血圧、脂質異常症など長期間にわたって服用しがちな薬は多くあるが、なかでも代表的なものに抗ヒスタミン薬がある。鼻水やじんましんの症状を抑える働きで知られているが、その際に眠気を出す働きが着目され、睡眠改善薬としても使われている。
「抗ヒスタミン薬には眠気という副作用があり、その作用を睡眠改善薬として活用しているのがジフェンヒドラミンです。認知症は脳の伝達物質アセチルコリンが減るとなりやすいとされていますが、抗ヒスタミン薬には、アセチルコリンを抑える抗コリン作用があり、長期にわたる使用は認知症など、脳へのリスクがあると思われます」(宇多川さん・以下同)
睡眠薬を服用している人も、最初は眠れていたはずだと宇多川さんは指摘する。
「何らかの悩みやストレスが原因で、生活のリズムが崩れたことで眠れなくなっているのでは。まず、朝日を浴びて体内リズムを整えるようにし、運動などして体を動かして肉体を疲れさせると、自然と眠れるようになるものです」
処方薬よりも手軽に入手できる市販薬にも、薬の落とし穴が。
「胃腸薬にはアルミニウムが含まれているものが多くありますが、アルミニウムはアルツハイマー型認知症の原因物質としても指摘されています。服用期間は7日程度で抑えるようにしましょう」
高血圧の薬も長期服用薬の常連だ。
「高血圧の薬はどれも血流を抑えるように作用しますから、長期の服用は、血流を滞らせ、脳梗塞や認知症などのリスクがあると考えられます」
骨粗しょう症の代表的な薬、ビスホスホネート製剤には皮肉にも骨折が治りにくいという副作用が。
「骨粗しょう症の予防には、太陽光をしっかり浴びたり、運動をすることで、体内でビタミンDとカルシウムが生成されます。こうした生活習慣や、ビタミン・ミネラルのバランスのとれた栄養を取ることこそ、薬の服用よりも大切です」
そもそも薬は長期服用するものではない。薬をいつまでも飲み続けるのは避け、「常に医師に丸投げ」という姿勢をとり続けるのはやめよう。
「いわゆる“健康の基準値”は医療側の都合でいくらでも変わります。安易に薬に頼ることなく、生活習慣の見直しで改善できますので、そのことを意識しましょう」