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歌いたくて歌いたくて仕方がなかった皆さま、お待たせしました。カラオケボックスまで営業自粛や停止に追い込まれていましたが、そのあいだに各メーカー、各店舗では着々と感染防止対策が進化! 実力のほどは!?

 

「コロナ禍が始まったころ、『カラオケ店でクラスターが発生した』というニュースが全国を駆け巡りました。以降、そのイメージや事実とは違う不正確な情報の流布により、カラオケ業界は窮地に立たされています。感染者が減少してきた今だからこそ、カラオケ好きの皆さまが安心してカラオケを楽しめるよう、正しい情報をお伝えしたいと思います」

 

そう話すのは、日本で唯一の「カラオケ評論家」唯野奈津実さん。

 

唯野さんはカラオケ業界のスポークスマンとしてメディアで活躍するほか、カラオケ大会の審査員やカラオケ番組の制作協力など、カラオケにまつわるさまざまな仕事に日夜奔走している。

 

そんな唯野さんが風評被害だと強く訴えるのは、クラスター発生によるカラオケのイメージ低下についてだ。

 

「クラスターが発生したカラオケ店は、複数のグループ客が同じ空間に滞在する喫茶店形式の店舗。それに対し、カラオケボックスのような個室形式の店舗では、クラスター発生の事例はほぼ報告されていません。カラオケボックスは家族や友人など身近な関係での利用が大半ですし、個室なので他グループとの接触もなく、飲食店などとくらべてもリスクは限りなく小さいです」(唯野さん・以下同)

 

正確なコロナ対策の認識が広まったおかげで、今では多くの喫茶店型カラオケ店もきちんと対策を講じているが、そもそもカラオケボックスでのコロナ感染リスクは高くない。

 

それにもかかわらず、行政の指導により、カラオケ機器を設置する飲食店やカラオケボックスはひとくくりにされ、長期間の休業を余儀なくされてきたのだ。

 

やっと感染状況が落ち着いてきた今、カラオケをするうえでの基本的な対策は、まずは個人個人のマスク着用、手洗いとアルコール消毒液での手指の消毒、検温、2~3人の少人数での利用、ソーシャルディスタンスの確保、歌唱時には向かい合わずに横並びで歌うなど。

 

そのうえで、歌好きが安心してカラオケを楽しめるよう、カラオケボックスが取り組んでいる特筆すべき対策を唯野さんに教えてもらった。

 

【換気システム】

カラオケボックスの室内は防音のため、窓の開閉による換気が容易ではない。だからこそ、建築基準法が定める換気速度(空気を入れ替える速度)は通常の建物の3~4.5倍もある。そもそもカラオケボックスは各室内に強力な吸排気設備を備えており、決して換気の悪い密閉空間ではないのだ。

 

【マスクエフェクト】

’20年、2大カラオケ機種のDAMとJOYSOUNDは、マスクをしたまま歌っても歌声がこもりにくいマスクエフェクト機能を搭載した。ほぼすべてのカラオケボックスで、マスク着用のまま歌っても、十分クリアに歌唱者の声が聞き取れるように!

 

【マイマイクの推奨・販売】

個人によるマイマイク持ち込みを推奨。多くのカラオケボックスでもマイクを販売している。ワイヤレスマイクは高額(2万円前後)だが、コードつきマイクなら2,000~3,000円前後で購入可能。

 

【共用マイクの感染防止対策】

マイクヘッドにつける使い切りのカバーや使用後のマイク専用除菌消臭スプレーを設置している。通常の除菌消臭スプレーには保湿剤などが含まれており、マイクが壊れてしまうため、マイク専用スプレーを使用すること。

 

【従業員との接触機会の削減】

QR決済やセルフ精算機などの導入が進んでいる。メニューブックの使い回しを避けるため、フードメニューをQRコード化してスマホで閲覧できるようにしたり、注文した品物は利用者自らピックアップしたりなど、従業員との接触機会も減らすようにしている。

 

【コロナ対策最新機器の開発・導入】

JOYSOUNDを展開するエクシングとその親会社のブラザー工業が、高い飛沫吸引効果を持つ小型空気清浄機「DF-2」を開発、販売。まねきねこなどカラオケボックス最多店舗数を誇るコシダカホールディングスでは、清掃の際に特殊紫外線を用いた除菌・ウイルス不活性化機器を開発、導入している。

 

■即席ライブ会場に! カラオケボックスの新たな楽しみ方

 

飛沫感染、接触感染を防ぐため、ここまで多くの対策をしているカラオケボックス。やっと“カラオケ難民”も安心してカラオケを楽しめそうだ。とはいえ、苦境にあるカラオケ業界。コロナによる変化を、大手カラオケボックスチェーンに直接聞いたところ……。

 

「スマホ画面をカラオケ画面に投影できる『ミラPon!』で、ライブや動画観賞、ゲームなどを楽しむ方が増えています。また、全国540店に独自のライブビューイング網も構築したので、アーティストが配信するライブを全国店舗で楽しめるサービスも始まっています」(まねきねこ、ワンカラなどを運営するコシダカホールディングス)

 

「スマホやPCの画面をカラオケの大画面で楽しめるよう、接続ツールを無料で貸し出しています。また、ライブイベントの生中継、無料の映画・アニメ・ライブの配信、ミュージックビデオ2万曲が見放題のJOYSOUND『みるハコ』の利用も増えています」(カラオケ館を運営するB&V)

 

カラオケボックスは歌うだけではなく、楽しむ場にも進化しつつあるようだ。

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