「年明け早々から、パンやパスタなどが10%近く値上げされます。’22年は、これにとどまらず、ほぼ全分野の商品が値上げされる傾向にあることは間違いありません」
こう話すのは、流通事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さんだ。
毎日の食卓に欠かせない食パンは、’22年1月1日から山崎製パンが平均9%、フジパンが平均9.7%、敷島製パンが平均6.1%の値上げを行う。パスタは2月1日から、日清フーズが約3~9%、ニップンが約2~9.5%と、軒並み10%近い値上げに。
じつは加谷さん、今年9月に本誌の値上げに関する記事で「1月ごろにパン、麺類が7%程度値上がり」と予測。その後、これらの品目の値上げが発表された。
「いやいや、『10%近い値上げ』は私の予測を上回る“爆上げ”。これは、全世界的にとどまらない物価の上昇を原因としています。コロナ後の景気回復への期待から、世界中であらゆる分野の発注量が急増。その需要に供給が間に合わず、価格が高騰しているんです。さらに、コロナ禍で物流網が混乱していることも、輸入品の価格上昇に拍車をかけています」
コロナ禍の物価への影響は一時的なものだが、値上げは今後も続く見通しであるという。
「まず、近年はアジアやアフリカなどの新興国の経済成長が著しく、人口増加、食事内容の高級化が進んでいます。さらに米中経済対立によって、アメリカは中国の工場への発注をストップ。その結果、減った分の売り上げを補塡するため、中国の工場は製造単価を上げざるをえなくなり、物を作るコストが上がっているのです。また、世界各国がリーマンショック後にとった量的緩和策(日本ではアベノミクス)により、世界中で物価は上昇を続けています」
主要各国が景気回復傾向を見せる中、日本は相変わらず不景気のままで、世界的な価格の上昇についていけない状況だ。
「輸入品は価格が高く、国内の商品も前記の理由で高騰している。国民が思うように消費にお金を回せず、景気が回復していかないのが日本の状況なんです」
では、新しい年はいったいどのような商品が値上がりしていくのだろうか。