全身の血流改善のために重要な役割をはたしているのが、“第二の心臓”ふくらはぎ。そのポンプ機能を強化する効果的な簡単メソッドを紹介。無理なく日常に取り入れて動脈硬化を予防・改善し、健康寿命をのばそうーー。
正月太りと長引く巣ごもり生活のダブルパンチで、「体が重くて脚がむくんで痛い」と、嘆く人が急増している。外に出て運動するのはおっくうという極寒の時季こそ、スキマ時間にできる家トレがある。
「今の時季はとても寒いので、外に出て散歩や運動を控える人が多いと思いますが、体を動かさないと体が硬くなり筋肉量が落ちてしまいます。家の中にいても畳のへりやちょっとの段差でつまずきやすくなり、転倒骨折のリスクが高まってきます。そこで、いきなりハードなトレーニングを行うとかえってケガにつながりますので、まずは、家の中でいつでもできる『かかと上げ下げ』をやって、ふくらはぎを鍛えることからスタートしましょう」
そうアドバイスするのは、アンチエイジング研究の第一人者で、愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター長の伊賀瀬道也先生。国立大学では先駆けとなるアンチエイジングを研究する抗加齢センターを開設し、約4,000人の患者に血管障害や認知症・介護の予防などの指導を続けてきた。
先生自身、朝昼夕の3回、1日1分の「ゆるジャンプ」と「ゆる糖質制限」で、1年で10キロのダイエットに成功。ただし、いきなりジャンプをするとひざ関節などを痛める恐れがあるので、患者には「かかと上げ下げ」から教えているという。
「心臓から送り出された血液は、足先から重力に逆らって心臓まで戻らなければなりません。この戻りにくい血液を戻す助けになるのが、ふくらはぎの『ポンプ機能』なのです。初級者向けの『かかと上げ下げ』では、ふくらはぎを鍛え、筋肉が内側の血管を圧迫して、血液を上へしぼり出せるようにします。この働きで、下半身のむくみが解消されるのです」(伊賀瀬先生・以下同)
ふくらはぎのポンプ機能の向上で全身の血流がよくなると、高血圧などの生活習慣病や動脈硬化の予防・改善につながる。
しかも、柔らかく弾力性のある血管に若返るという。