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食品が値上がりし生活がきびしくなるいっぽうで、食べられるのに捨てられてしまうフードロスはなかなか減りません。ですが販売方法を工夫すれば、フードロスは魅力的な商品に生まれ変わります。そんな、フードロス解消&家計防衛の技を経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれましたーー。

 

■商習慣もフードロスの原因に。賞味期限が壁

 

キーワードは自宅に届く定期便、つまり「サブスク」です。

 

まずは魚です。傷があったり大きさや形がふぞろいなどの理由で、市場に卸す前に捨てられる魚は「未利用魚」と呼ばれ、通常、水揚げ量の3~4割を占めます。

 

水産ベンチャーのベンナーズは、未利用魚を取れた日のうちにみそ漬けやたれ漬け、カルパッチョなどに加工し、瞬間冷凍して販売しています。1.5人前のパックが6種類で4200円(税込み・以下同)など、毎月届くサブスクです。

 

漁師は捨てていた魚が収入になり、販売会社はサブスクで安定的に事業ができ、利用者は鮮度抜群の魚を手軽においしく食べられる。まさに“三方よし”で、フードロスの解消、環境への負荷軽減などに貢献しています。

 

未利用魚は宅配のらでぃっしゅぼーやでも毎月1回の定期便があります。うろこや内臓など下処理済みの生魚が3~4尾で1296円。お手ごろなのもうれしいですね。

 

野菜にも大きすぎたり曲がったり規格外がたくさんあります。道の駅や直売所での販売が一般的ですが、毎月自宅に届くサブスクも。

 

たとえばユーキフーズは10~14種の規格外野菜を詰め、2138円で販売しています。形はいびつでも新鮮でリーズナブル。家計を考えるととても助かります。

 

日本のフードロスは年間約612万トン、東京ドーム約5杯分に相当し、国民全員が毎日お茶碗1杯分を捨てる計算です(’20年・農林水産省)。規格外品の利用が増えれば、フードロスも減っていくのではないかと思います。

 

フードロスにはもう1つ商習慣の問題があります。賞味期限が6カ月だとすると、その3分の1、製造から2カ月までの間に納品されなければ店頭には並べない「3分の1ルール」です。

 

最近ではこれを緩和する動きが広まってきましたが、店頭に並ばなかった商品は廃棄されるものが大半で、一部は販売価格を下げディスカウント店に回ります。

 

フードロスのサブスクを展開するロスゼロは、賞味期限の残り少ないスイーツや食品を詰め合わせて2カ月に1度届けています。ただいつ届くか、何が入っているかわかりません。総額1万円前後のものを5000円で購入する“福袋”のように楽しむのがよいでしょう。

 

ロスゼロでは’22年からサブスクを開始し、4カ月で利用者が2000人を突破。月5トンのフードロス予備軍を出荷しています。

 

フードロスは規格外品や賞味期限切れなどの事業系が約55%で、残り45%は家庭から出るものです。環境のため、家計のためにも、買ったものはムダなく食べ切ることを心がけたいものです。

 

【PROFILE】

荻原博子

身近な視点からお金について解説してくれる経済ジャーナリスト。著書に『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)、『50代で決める!最強の「お金」戦略』(NHK出版)などがある

経済ジャーナリスト

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