物価高に、上がらない賃金。そんなニュースを聞くたび、この先どうなるのだろうと悲観してしまうあなたへ。お金のプロが、豊かな生活をつくる方法を解説してくれたーー。
「年収200万円」という言葉が、物議をかもしている。きっかけは、『年収200万円で豊かに暮らす』(宝島社)のムックの写真とともに、あるユーザーが、《色々な地獄を感じた、これを見た時。》とTwitterで呟いたこと。11.5万件の「いいね」に、2.9万件ものリツイートがつき、「200万円じゃ暮らせない」と、“炎上”したのだ。
なぜ、今、炎上したのだろうか?
「歴史的な円安に、値上げラッシュ。ですが賃金は30年近く上がらず、収入は下がっています。『明日はわが身』と不安があるからこそ『200万円』が心に刺さるキーワードになったのだと思うんです」
そう語るのは、ムックの監修者で、2万4000件以上の家計の相談を受けてきた「家計再生コンサルタント」横山光昭さんだ。
「実際、労働者5250万人のうち、年収200万円以下の人の割合は、22.9%と、1200万人。約4人に1人があてはまります。しかし、人によって状況や条件も違えば、価値観や幸せの基準もそれぞれ違う。だからこそ、悲観するだけじゃなく、打開策を探すことが大切だと思うんです」
実際に横山さんが相談を受け、年収200万円でもしっかりと暮らしている人もいる。
特に、読者世代(50代〜)は、「200万円で暮らす」を、念頭に入れたほうがいいと横山さん。
「60代は仕事を続けても収入が目減りしますし、年金だけで200万円もない人も多い。老後に入り、住宅ローン、教育費が終わったとしても、支出を年金額以内に落とせるかはわかりません。少ないお金で楽しく暮らす術を知っておくのは大事です」
だから今から、200万円で暮らせるように、家計を小さくする工夫をすることが必要なのだ。
そこで横山さんに「豊かに暮らすための鉄則3」を聞いた。
【鉄則1】家計の「軸」を持つ
「まず初めに、家賃・生命保険料、車のローンなどの固定費から見直しをし、食費や娯楽費などの変動費についてどうするか考えることが原則です」(横山さん・以下同)
横山さんが説く「固定費・変動費・貯金」の理想の比率は「45%・35%・20%」だ。
では、変動費の見直しは何を基準にするといいのか?
「自分や家族が、『ここにはお金を使う価値がある』と、思える軸を見つけるんです。僕は家族と過ごす時間が取りづらいので、家族と一緒の食事会をすごく大切にしてそこにお金をかけます。支出はメリハリが大事。皆さんも、ご家族で話し合って、その家庭で軸になるものを見つけてください。ただし、予算は守りましょう」
アイドルなどの“推し活”や、夫婦の趣味でもいい。支出に価値があったと思える“生きたお金”は、心を満足させる。
「しかし、コロナ禍で遠出ができなかったぶん、ドラッグストア、コンビニでつい買ってしまうことも。心が満足しているか常に考えて行動しましょう」