「実は、耳にはさまざまな病気のサインが現れます」
そう話すのは300冊以上の著書を持つイシハラクリニック院長の石原結實先生だ。患者の顔や姿からも病気を推察するが、耳にも注目しているという。
「たとえば耳たぶにシワのある人は、心臓病の可能性があります」(石原先生・以下同)
耳たぶのシワと心臓病の関連を調査したシカゴ大学の研究では、「耳たぶにシワのある人」の心臓病による死亡者数は、「耳たぶにシワのない人」の約3倍にものぼるという。
「体内の動脈硬化が進むと、耳たぶの動脈硬化も進み血流が減少します。すると耳たぶにある脂肪に栄養が行き渡らず萎縮して、シワができると考えられています」
心当たりがあれば早めに心臓の検査を受けたほうがいい。ほかにも、耳には病気のサインが現れる。
「耳の下側、耳下腺が腫れると、最初はおたふく風邪などを疑いますが、発熱も痛みもない場合は糖尿病かもしれません」
糖尿病は膵臓の働きが低下して起こる。膵臓と似た働きを持つ耳下腺がパンパンに腫れている場合、膵臓の働きを補っていると考えられている。
「耳の外側の小さなしこりは、痛風のサインかも。手足にできる痛風結節と同じ症状です」
痛風結節は体温の低いところにできやすいため、耳の外側にもできる可能性がある。
また、耳が大きくなると末端肥大症が疑わしい。成長ホルモンの分泌が過剰になる病気で、耳以外にも鼻や唇が肥大し、眉の上側の骨やあごが突出してくるという。