もし病気になったら……その痛みや苦しみはもちろん、やはり不安になるのはお金。後期高齢者の2割に当たる約370万人の医療費負担が2割に引き上げられたなか、「いくらかかる?」を知って備えることが重要だ。
「1割負担の人が2割負担となると、単純に医療費が倍になります。定期的に診察を受ける必要がある生活習慣病などをお持ちの方は、5年、10年で考えればかなりの負担増になります」
こう語る五良会竹内内科小児科医院院長の五藤良将さん、常磐病院(福島県)の医師・尾崎章彦さんとともに、生活習慣病と、女性の5大がんでかかる医療費を見ていこう。
【生活習慣病】継続的な治療が必須だが、そのぶんお金も…
「生活習慣病など長きにわたって定期的に診察を受ける病気は、1回の医療費が数千円でも、積み重ねで大きな出費につながります」と注意喚起するのは五藤良将さん。
国民の3人に1人、4千万人もの患者がいるといわれている高血圧症の、1年間でかかる治療費は3割負担で37,429円、2割負担で24,953円、1割負担で12,476円。
「高血圧症の主要因は塩分の取りすぎ、肥満や過度の飲酒などです。血圧が高い状態が長く続くと、血管が痛めつけられ動脈硬化などを起こし、やがては脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めます。つまり、高血圧の人は日ごろから血圧をコントロールすることが重要。降圧剤や血管を広げる薬を処方します」(五藤さん)
高血圧症同様、重大な合併症を引き起こす糖尿病の、1年間でかかる治療費は3割負担で65,452円、2割負担で43,634円、1割負担で21,817円。
「糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの働きが不十分で、血糖値が高くなる病気。2型糖尿病は遺伝的な側面と、運動不足や肥満など生活習慣が原因だったりします」(五藤さん)
高血糖が続くと血管がダメージを受け、細い血管が集中する部位で症状が出る。
「心臓なら心筋梗塞など、脳なら脳出血、目なら失明、足なら壊疽を起こし切断に至るリスクが。血糖値を下げる薬などで対応します」(五藤さん)