1歳になって表情がますます豊かになったあおちゃん(写真:家族提供) 画像を見る

1歳になったばかりのあおちゃんは人生のほとんどを病院で過ごしてきた。もしかしたら、この小さな子は、病院だけが世界のすべてだと思っているのかもしれないーー。このまま看取ることも考えた両親。でも、着実に成長していく娘に広い世界を見てほしいと思うようになった。

 

日本では小児の臓器提供者が極端に少ないため、生きる道ために心臓移植が必要な子供たちは、海外での手術を選択せざるをえないのが現状だ。そのための高額な費用を集めるために、東奔西走しているのは、“あおちゃん”こと、佐藤葵ちゃん(1)の母・清香さん(38)と父・昭一郎さん(41)だ。

 

募金目標金額は5億3千万円。昨年であれば3億円ほどと見込まれていた米国での心臓移植費用は、急激な円安で1.5倍近くに急増した。これだけの費用を要する海外移植への挑戦に至るまでに、あおちゃんの両親にはさまざまな葛藤があった。 1歳の誕生日を迎えたばかりのあおちゃんの母、清香さんはこう語る。

 

「娘が生まれたのは2021年10月31日。エコー検査でも問題なく、順調な妊娠と出産でした。生まれたときは、体重が4千gを超えるほど。健康に生まれてくれたと安心していたんです」

 

ところが出産翌日、医師から「心臓から雑音が聞こえる」と指摘され、左心室と右心室の壁に穴があいている心室中隔欠損だと判明。

 

「医師からは、300〜400人に1人くらいの確率で起こる病気で、自然に穴が塞がっていくケースも多いと聞いていたので、大丈夫だ、大丈夫だと希望を持っていました」(父、昭一郎さん)

 

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