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大腸がんによる死亡者数が増え続けている。

 

日本では女性の6人に1人ががんで亡くなっているが、なかでも大腸がんはもっとも多く、2021年には2万4千338人(男性は2万8千80人)が命を落としている。

 

「今から50年ほど前までは、大腸がんの手術があると、医師たちは『珍しいね』と言っていたほど。1963年の統計によると、大腸がんで亡くなった女性は2千953人ですから、60年間でおよそ10倍に膨れ上がりました」とは、国立がん研究センター中央病院大腸外科の金光幸秀先生。

 

女性の部位別がん罹患数でも大腸がんは乳がんに次いで2位。

 

2019年に大腸がんと診断された女性は6万7千753人(男性は8万7千872人)にのぼる。1975年の推定患者数は8千867人だから、こちらも半世紀あまりで7倍以上に……。

 

「先進国で日本だけが罹患率、死亡率が高くなっています。たとえばアメリカでは、1970年代から国をあげてがん撲滅に乗り出し、大腸がんは1990年代から患者数・死亡者数ともに減少を続けています。

 

とくに死亡率低下に寄与したのは内視鏡を含めた大腸のスクリーニング検診が受けやすくなったこと。50~75歳の人は無料で大腸がん検診を受けられるようになり、70%近くが受診しています」(金光先生、以下同)

 

大腸がんの死亡者数を減らすためにも大腸がん検診(便中の血液の有無を調べる便潜血検査や内視鏡による精密検査)の受診率を上げていくことが大切だ。

 

「大腸がんは、早期に発見することができれば、内視鏡や外科治療(手術)による切除で、ほとんど治癒が可能な病気。進行したがんが治ることも珍しくありません」

 

ところが、日本人の大腸がん検診の受診率は、40~69歳の女性で40.9%(男性47.8%)にとどまっている。さらに新型コロナウイルスの感染禍で受診者数も激減し、コロナ前(2019年)と比べると、2020年は23.3%、2021年も9%少なくなっている。

 

「大腸がんは進行度によって0期からIV期に分類されます。がんが大腸壁の粘膜層にとどまる0期の5年生存率は97.6%ですが、II期、III期と進行するにつれて、生存率は低下していきます。

 

国内では年間約15万5千人が大腸がんと診断されますが、その2割弱が、肺や肝臓に転移し、もっとも進行した状態のIV期(5年生存率20.2%)。コロナ禍による大腸がん検診の受診控えで、早期発見ができないケースのさらなる増加が危惧されます」

 

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