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人生100年時代を迎え、健康寿命と同時に“お金の寿命”も延ばす必要性が高まっている。

 

「子どもの教育費や住宅ローンから解放された50代半ばごろからは、人生で最後の“貯めどき”です。夫が定年退職した後も再雇用や再就職で働くケースが増えていますが、少しでも早くから老後資産を貯めておくと、リタイア後の不安を軽減することができます」

 

そうアドバイスするのは『超ど素人がはじめる資産運用 第2版』(翔泳社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん。

 

給料が上がらず物価が上がるなか、「投資で利益を得られたら」と思いつつも、何から始めればよいかわからないという人も多い。

 

「まず、自分たちにどれだけの貯蓄・資産があるのかチェックすることから始めましょう。貯蓄が200万円に満たない人は、投資の前に家計の改善が先決です。毎月支払うスマホ代や保険料などの固定費を見直し、『先取り貯蓄』ができる仕組みを作ります。給料の手取り額の2〜3割を、先取り貯蓄でコツコツ貯めていきましょう」(風呂内さん、以下同)

 

同時に、家にある不用品をフリマアプリで処分するなどして、身のまわりをスッキリさせよう。

 

病気や災害など“いざ”に備えて200万円貯めることができたら、そこから具体的な運用方法の検討を始めよう。55歳までにスタート地点に立つことができれば心強い。65歳以上の人は、200万〜800万円の貯蓄がある場合も、資産運用より“虎の子”を守るような生活を心がけたい。

 

65歳未満で200万円以上の貯蓄がある人は、65歳まで個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入を検討しよう。iDeCoは、自分が拠出した掛金を投資信託などで運用しながら資産形成をする年金制度。法改正で加入できる年齢が60歳から65歳まで延びたので、65歳になるまで積み立てができるようになった。会社員や公務員であれば掛金の上限は月額1万2千〜2万3千円で、運用益は非課税になる。拠出した掛金は、全額所得控除になるので、大きな節税効果が得られるなどのメリットがある。

 

「iDeCoとつみたてNISAのどちらを始めたらいいですか?という質問をよく受けますが、特に50代以降は加入に際し年齢制限があるiDeCoを先に検討することをおすすめします。再雇用や再就職で60歳以降も働く会社員や公務員の人は、iDeCoに継続して加入できるようになりましたから、いままでより多く年金を増やすことができます。

 

ただし、国民年金に加入する自営業やフリーランスの人で40年間保険料を納付済みの人は、60歳以降は国民年金に加入できないので、iDeCoにも入ることができません」

 

800万円超の貯蓄がある65歳未満の人は、余裕があればつみたてNISAの併用を検討しよう。NISAとは、投資信託を対象にした非課税制度。通常、投資で得た利益には20%ほどの税金がかかるが、NISAの運用益には税金が課せられない。

 

’23年まで利用できる「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、一般NISAは、1年間に120万円まで投資ができ、株式や投資信託、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)など、幅広い商品の購入が可能で、非課税期間は最長5年となる。これに対して、つみたてNISAは1年間に40万円までの投資ができ、非課税期間は最長20年。購入できる金融商品は、金融庁の基準(手数料や運用期間)を満たした投資信託188本(’22年2月9日時点)に絞られるので選びやすい。これらはいったん’23年末で終了し、’24年から新しい制度が開始となる。

 

新制度でのNISAの「つみたて投資枠」の上限は1年間で120万円、一般NISA相当の「成長投資枠」の上限は年240万円まで拡大する。いずれも投資可能期間は無制限で、2つ合わせて1千800万円まで非課税で保有できる。いまのうちに知識と資産を蓄えて、使い勝手がよくなる新制度NISA開始後に投資デビューをするのも手だと風呂内さんは言う。

 

「65歳以上で、800万円超の貯蓄がある人もNISAが使いやすくなります。’23年まではつみたてNISAと一般NISAのどちらか選択しなければなりません。’24年以降は柔軟に運用できます」

 

家計に無理のない範囲で、将来の安心を得るための手段として、投資も選択肢に入れてみよう。

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