そばに含まれるポリフェノールには血管壁を強化する作用が(写真:アフロ) 画像を見る

「ふくらはぎに青い血管が浮き出ていて、夏なのに素足をさらすのが恥ずかしい……」と、悩む中高年女性は多い。

 

「その正体は『下肢静脈瘤』です。足の静脈内の血液は下から上に流れているので、逆流を防ぐためにたくさんの『弁』があります。加齢に伴い静脈がもろくなると、血流が滞り、弁に過度な負担が生じることから血液が逆流して静脈内にたまります。するとひざまわりやふくらはぎの血管が伸びて広がりボコボコと浮き出て見える、これが下肢静脈瘤です。

 

見た目の問題のほか、足のだるさや疲れ、むくみ、こむら返りなどさまざまな症状につながるため、放置せずケアすることが大事です」

 

そう語るのは、これまで約3万人の下肢静脈瘤の患者を治療してきた血管外科医で「北青山Dクリニック」の阿保義久院長。

 

日本人の約9%に下肢静脈瘤があり、患者数は1千万人以上、出産経験のある女性の2人に1人が発症するというデータもある。

 

「下肢静脈瘤が重症化すると、医療機関で治療を受ける必要がありますが、血管が青い網目のように浮き出て見える『網目状静脈瘤』や、直径1mm以下の静脈が拡張してできる『クモの巣状静脈瘤』などの軽症であれば、運動や食事のセルフケアで改善させることも可能です」(阿保院長、以下同)

 

また、近年は下肢静脈瘤の予防や改善につながる栄養素に関する研究報告が相次いでいるという。

 

「下肢静脈瘤の予防には静脈の血管壁を強化して、血管の拡張を防ぐことが重要です。そばや玉ねぎなどに含まれるポリフェノールの一種『ルチン』には、抗酸化作用や血管強化作用があり、血管壁を強化して拡張を防ぐことがわかっています。ビタミンB群やビタミンDも同様に血管壁を強化します。

 

また、血液の逆流により静脈の脆弱な部分が刺激を受け、新たに病的な血管が作られる現象を『血管新生』といい、静脈瘤を引き起こす原因になっています。この『血管新生』を阻害する栄養素の1つが、ポリフェノールの一種『アントシアニン』で、ブルーベリーのほか、いちごやカシス、ぶどうなどに含まれます」

 

血管内皮の酸化ダメージや炎症の原因となる「活性酸素」を取り除くには、ビタミンA、C、Eが豊富な食材や、ポリフェノールが含まれる赤ワインなどが効果的だ。

 

「意外に思うかもしれませんが、下肢静脈瘤に便秘は大敵。便で膨らんだ腸が臓器を圧迫して、腹圧を上げるとともに血管の内圧が上がるので、静脈に負担をかけてしまいます。バナナなど食物繊維が豊富なものを取り、ふだんからおなかの調子を整えておきましょう」

 

また、汗をかきやすい夏場は体内の水分が不足して、血液がドロドロになりがち。水分を取るのはもちろんだが、血液の粘度を下げる食材にも効果がある。

 

「イワシなどの青魚に含まれるEPA、DHA、玉ねぎなどネギの仲間の植物に含まれる『硫化アリル』には、血液をサラサラにする作用や、末梢血管を拡張して血液循環を改善する働きもあります」

 

食生活のほか、ふだんの生活習慣でも気をつけたいことがある。ふくらはぎの筋肉のポンプ作用を持続させるためにも、立ちっぱなし、座りっぱなしなど長時間同じ姿勢で過ごすのは避けること。また、締め付ける力で血流を促す弾性ストッキングなどをはくことも効果的だという。

 

生活スタイルの改善を継続すると、大体2〜3カ月で見た目から変わってくるそうだ。 さっそく自分の生活習慣を見直して、若々しいふくらはぎをキープしよう。

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