「かゆいところに手が届くアイテムなんですよね。ここに、これがあったらいいのに、っていうのを、結構、いろんな形で叶えてくれる、すごいスペシャルなアイテム、それがつっぱり棒だと思います」
こう言葉に力を込めるのは、“くらしUXデザイナー”堀中里香さん。整理収納アドバイザーで、防災士、防災備蓄プランナーなど、暮らしに関わるさまざまな資格を有する堀中さんは2020年2月、「つっぱり棒マスター」の資格も取得、いまや日本の家庭に当たり前にあるつっぱり棒の専門家として日々、情報発信を続けている。
そんな、つっぱり棒を主力商品とする家庭用収納製品メーカー・平安伸銅工業は2月8日、東京・恵比寿で「つっぱり棒の日」記念発表会を開催した。日本に初めてつっぱり棒を紹介し、ナンバーワンのシェアを誇る同社は、2021年に“つっ(2)ぱ(8)り”の語呂合わせで、2月8日を「つっぱり棒の日」として日本記念日協会に登録。今年は、つっぱり棒の魅力を広く伝えるため、各種SNSでキャンペーンを実施した。
記念発表会では、まずはじめに同社代表取締役社長の竹内香予子さんが登壇。物価高を受け、家賃や住宅価格も高騰、居住面積は徐々に縮小傾向にあると言われるなか、コロナ禍で在宅勤務を始める人も増え、「住環境におけるスペパ(スペースパフォーマンス)の向上が現代の課題である」と語った。「さあ、暮らすがえ」をキーワードに、つっぱり棒で空間を立体的に活用する事例などを紹介した。
「つっぱり棒の可能性は無限大」と語る竹内さん。「つっぱり棒を使えば、大掛かりな工事などなしに、限られたスペースを使いたいように活用することができる」と力説した。
さらに、記念発表会には、同社が展開する「つっぱり棒マスター認定講座」を修了した、堀中さんら“つっぱり棒マスター”28人も集結、イベントを盛り上げた。
そこで本誌は、堀中さんらつっぱり棒マスターに、日ごろのつっぱり棒との付き合い方、ちょっと変わった使い方を聞いた。
堀中さんは3LDKの間取りの戸建てに、夫と二人暮らし。彼女の“つっぱり棒歴”も、四半世紀ほど前から。
「結婚後に住んだアパートがどうにも手狭で。クローゼットは付いてましたが、それだけではどうしても洋服が入りきらなくて。ジャッキ式の強力なつっぱり棒を買ってきて、そこにガンガン、洋服を掛けたのが最初のつっぱり棒の思い出です」
現在、自宅に40本以上のつっぱり棒があると言う堀中さん。大きなサイズのザルを、勝手口につっぱったつっぱり棒&S字フックで掛けるなど、ひと工夫プラスの使い方が随所に見られるが、なかには収納とは関係ない使い方も。
「12月にはクリスマスツリー、3月のひな祭りには吊るし雛、5月の端午の節句には鯉のぼりを、縦につっぱったつっぱり棒を使って飾っています」
薪ストーブを愛用しているという堀中さん。家にたくさんある、焚き付け用の枝を活用。縦につっぱったつっぱり棒に、長さがバラバラの複数の枝を輪ゴムで括りつけて、クリスマスツリーに見立てるなどしているという。
「季節の飾り物って、使わないときの収納がかさばって困ることが少なくないんですが、これならシーズン後、簡単にバラバラにできますし、枝は焚き付けに使ったり、そうでなければ燃えるゴミにそのまま出せますから」
堀中さんは、「簡単に手に入るし、アイデア次第でいろんな使い方ができるのが、つっぱり棒の魅力」と話す。